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2019年11月 1日 (金)

【くろがね線を読み解く】第294回■鉄鋼メーカーN社 2020年4月に製鉄所統合

 本日2019年11月1日付のビッグニュースは、なんといってもこちらであろう。

  ◆日本製鉄 製鉄所組織の統合・再編成について◆

公式ホームページのプレスリリースに詳しい情報が掲載されているので、こちらも適宜参照いただきたい。リリースによると、国内の製鉄所・製造拠点は2020年4月1日付で以下の6カ所に統合される。

  • 東日本製鉄所(鹿島、君津、釜石、直江津)
  • 関西製鉄所 (和歌山、尼崎、製鋼所)
  • 瀬戸内製鉄所(広畑、呉、堺、東予、大阪)
  • 九州製鉄所 (八幡、大分)
  • 名古屋製鉄所(現状のまま)
  • 室蘭製鉄所 (棒線事業部配下から脱却)

統合・再編成にあたって考慮されたポイントは以下の通りである。

  • 製鉄所の地理的関係
  • 製造品種・ライン構成
  • 鉄源分譲等の生産・品質・物流面の関係
  • 人的資源や技術・技能・ノウハウのさらなる結集の観点

ここから先は、あくまでも個人的な印象であることをお断りして、話を進めよう。1番目の地理的関係と聞いて真っ先に違和感があるのが、関西製鉄所と瀬戸内製鉄所である。地理的には関西に属するはずの広畑、堺、大阪が、なぜか関西製鉄所ではなく瀬戸内製鉄所になっている。日本人に「瀬戸内」と聞いて一番に堺や大阪をイメージする人は千人に一人も居ないだろう。私見では、シンプルに関西エリアに分散していた元住友金属工業の製造拠点のみを抽出して関西製鉄所とし、西日本の残りを統合してもう一つ名前を付ける必要があるが、大阪から広島まで東西およそ350kmにわたる広大な地域を端的に表す名称が「瀬戸内」しかなかった、というだけであろう。たしかに、堺製造所も大阪製造所も、瀬戸内海に面してはいる。瀬戸内だ。嘘ではない。名称決定にあたり、おそらく社内でも色々意見はあっただろうが、さすが優秀な人材が知恵を出せば解決できない課題は無いのである。

関西製鉄所に統合された拠点には、旧住金という以外に、鋼管と鉄道用車輪・台車の製造拠点という共通点もある。上流工程の高炉・転炉が和歌山にあり、半製品を下流工程の製鋼所(安治川口)に運び、車輪や、台車枠を構成する部品に圧延、或いはブルームを尼崎に運んで鋼管に、といった具合で生産工程上の繋がりがある。これが2番目の理由「製造品種・ライン構成」であろう。

そういう意味では、広畑も君津の下流工程の一部といえなくもないし、2020年度中の高炉廃止が決まった小倉の上流工程の一端を担うことになる室蘭は、役割的には「九州製鉄所室蘭地区」ともいえなくもない。が、さすがに地理的に社会的コンセンサスの得られない名称は敬遠されたのだろう。室蘭は棒線事業部から独立して1製鉄所になる。室蘭は、かつて低迷期に高炉を北海製鉄として分社化(三菱製鋼と共同出資)していたが、小倉への半製品供給の役割が明確になると、2017年4月に北海製鉄を直営化(日刊鉄鋼新聞2017年3月14日付)し、さらに2018年11月2日に来年2020年8月からの高炉拡大改修開始を発表した。これが、室蘭が独立を維持している理由の一つであり、3番目の「鉄源分譲等の生産・品質・物流面の関係」の一例といえるのだろう。

4番目は言いようだが、統合される6製鉄所の中で、高炉が重複している(言い換えると一貫製鉄所が複数含まれる)のは、東日本製鉄所の鹿島と君津、九州製鉄所の八幡と大分、この2製鉄所だけである。いずれも拠点間の距離は比較的近く(特急列車や高速道路で2~3時間程度)、転勤や人材育成、構外物流の共同利用などの面で柔軟に対応することが期待できる。株主は、鉄鋼メーカーが製鉄所を統合して合理化する際に高炉を減らさない事への圧力をかけがちだが、シナジーが生まれるということで当面は説明もつくのではないだろうか。

 というわけで、プレスリリースに列挙された製鉄所統合の際に考慮された4つの「観点」は、すべて筋の通った建てつけに基づいていることが分かる。もちろん、本記事記載の内容はあくまで私的な「観点」に過ぎないが。

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