カテゴリー「 H.ニチユのスイッチャー」の8件の記事

2017年10月 3日 (火)

◆尾去沢鉱山の保存車◆ニチユ10tロッド駆動と仲間たち

 お盆期間中、避暑と青春18きっぷ消化を兼ねて北東北へ行ってきました。秋田では、2011年6月の仮オープン以来の訪問となる小坂レールパークと、そのついでに尾去沢鉱山を訪ねました。両拠点は、鹿角花輪駅経由で路線バスが連絡しているので、鹿角花輪駅前の旅館に泊まり、翌朝フロントに荷物を預けて両方訪ねると楽チンです。

※2017年現在、尾去沢行のバスは麓の集落が終点となり、鉱山前までは行かなくなっています。鉱山へは、鹿角花輪駅からタクシーで10分です。

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■尾去沢鉱山駐車場に保存されているニチユ10t半キャブロッド駆動   2017年8月13日

全長1.7kmに及ぶ観光坑道が見どころの尾去沢鉱山には、かつて陸中花輪駅(現 鹿角花輪駅)の側線で入換に使用されていたスイッチャーが綺麗に保存されています。花壇の花も良く手入れされていますし、スイッチャーの方も定期的に塗り直されているようです。1963年(昭和38年)9月に日本輸送機で製作された凸型機関車で、自重10t、車軸配置はBです。最終動力伝達方式は、動輪の片方を動かしロッド棒によって他方へ動力を伝えるロッド駆動方式です。

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銘板はこちらの非公式側にあり、型式DL10MC1067、製造番号1025002と判読できました。上写真一枚目とこの二枚目を比較すると、ちゃんとロッド棒の位置(位相)が変えてあるのが分かりますね。角度のズレは90度っぽいですがどうでしょう??

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写真はすべてボンネットの蓋を閉じてから撮影しています。訪問時は蓋が開いており、三菱のロゴの入ったエンジンが搭載されているのが分かりました。帰宅後に調べてみると、朝日新聞社『世界の鉄道’70』に詳細が掲載されていました。それによると、調査当時、陸中花輪駅の三菱金属鉱業尾去沢鉱業所専用側線の入換作業は、丸佐運送合資会社が所有する私有機2両によって行われており、うち1両が酒井製の10t機、もう1両がこの機関車でした。諸元は以下の通りです。

  • 自  重  : 10.1t
  • 全  長  : 5,250mm
  • 全  幅  : 2,495mm
  • 全  高  : 2,620mm
  • エンジン  : 三菱ふそう DB31L (130ps/1800rpm)
  • 液体変速機:岡村製作所 PM18
  • 最高速度 : 21km/h

エンジンは、当時のバスやトラック・建機で汎用的に使用されていた三菱DB系が採用されています。動輪径は、自重8~10tクラスの国鉄貨車移動機のロッド駆動のタイプと同じ660mmです。

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スイッチャーの近くには、説明の看板がありました。一般論としてこういった看板の記載内容は間違っていることもあるので鵜呑みは危険ですが、この看板は、入換作業に従事した丸佐運送がこのスイッチャーを尾去沢鉱山へ寄贈した際に立てたもののようですので、読む価値はあると思います。表題の「10トンディーゼル機関車 型式DB-3IL」は、前述のエンジン型式(DB31L)のことを指していると思われます。私有機の場合、複数ある入換動車を識別する際に、番号ではなくエンジン型式で呼称するケースがあるにはありますが、それに相当するのか、はたまた単なる型式の取り違えなのかは、分かりません。

●ロッド駆動半キャブの仲間たち

 スイッチャーの保存車は数あれど、この尾去沢鉱山の保存車と同じロッド駆動のしかも半キャブとなると、数えるほどしか残っていませんね。

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■JR網干駅前に保存されているニチユ製の同型機。(2007年に駐車場所有者の北沢産業の管理者に許可を得て撮影)

同型の北沢産業DB2。JR網干駅近くに静態保存されています。1961年(昭和36年)日本輸送機製の10t機ロッド駆動タイプで、型式は同じDL10MC1067、製造番号は876001。こちらも世界の鉄道に掲載されていました。(ちなみに、沖田氏の機関車表に収録されている製造番号876002読み取り誤りですので、引用して拡散しないようお願いします

  • 自  重  : 10t
  • 全  長  : 5,250mm
  • 全  幅  : 2,499mm
  • 全  高  : 2,620mm
  • エンジン  : 三菱ふそう  (130ps/2000rpm)
  • 液体変速機:岡村製作所 RM18
  • 最高速度 : 21km/h

丸佐運送のニチユ10t機と寸法も出力もほとんど変わりません。

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■古河鉱業所有のニチユ8t半キャブロッド駆動  2011年8月、足尾駅前

次は足尾駅前の動態保存車。同じく日本輸送機製のロッド駆動半キャブで、同型、と言いたくなるところですが自重は10tより少し軽く8tです。古河鉱業の私有機で、1965年(昭和40年)7月製造、型式DL8MC1067、製造番号1105001です。普段は傷まないようにシートに覆われており、数年に一度イベントで動きます。

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■くりはら田園鉄道DB101。協三工業製の10t半キャブロッド駆動   2013年、若柳駅跡

こちらも動態保存機ですが、残念ながら?日本輸送機製ではなく協三工業製の10tロッド駆動機です。元くりはら田園鉄道DB10形ディーゼル機関車DB101で、車体内部の銘板によると、1965年(昭和40年)6月製造、型式D10-1067、製造番号10470です。くりでん保存会が年に1回程度動かしていますので、運が良ければ動くところを見られます。入換に便利なように、通常はキャブ中央にある逆転器レバーが非公式側窓際に設けられているのが特徴で、それを除けば、平凡なスイッチャーです。ちなみに5~10tクラスの貨車移動機は、足でアクセルを踏み込んで速度を調整します。逆転器レバーは変速レバーではありませんので、ご注意ください。

2017年春にオープンしたくりでんミュージアムで、DB10形の形式図や諸元の記載された「宮城中央交通 車両竣工図表」が購入できます。DB10形の発注時はバス会社と合併していたのでこの社名ですね。以下に抜粋します。

  • 自  重  : 9.8t
  • 全  長  : 5,150mm
  • 全  幅  : 2,499mm
  • 全  高  : 2,620mm
  • エンジン  : 日野自動車 DS50A  (80HP/1500rpm)
  • 液体変速機: 新潟コンバータ 8A-1350

見た目はニチユ製に似ており、寸法もほとんど変わりませんが、製造者の違いから搭載しているエンジンと液体変速機が異なります。

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■馬頭運送で保管中の協三工業製10t半キャブロッド駆動。   2014年、栃木県

こちらは、栃木県の馬頭運送が協三工業から引き取ったロッド駆動の半キャブです。たしか本社工場で保存されていたモノだった気がしますがうろ覚えです。連結器が柴田式自動連結器ではありませんが、土木工事軌道で使用されていたのでしょうか。馬頭運送は、全国各地から蒐集したスイッチャーを修復・動態化しており、那珂川清流鉄道保存会に移設されたものは公開時に動くことがあります。今回は4両紹介しましたが、他にもロッド駆動の半キャブをご存知の方は、情報お待ちしております。

●2017年10月7日追記

 相互リンク先の西宮後停留場様より情報をいただきました。北海道の丸瀬布いこいの森に、佐藤工業製の10t半キャブロッド駆動が静態保存されているそうです。詳細はこちら

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2016年10月20日 (木)

★福岡市営地下鉄★姪浜車両基地の入換用機関車

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 もう5年前になりますが、2011年10月30日に福岡市交通局姪浜車両基地にて地下鉄フェスタin姪浜が開催され、入換用機関車や保線車両などが展示されました。地下鉄フェスタは毎年七隈線の橋本車両基地にて開催されていますが、5年に1度だけ、ここ姪浜で開催されます。

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姪浜車両基地と言えば、検査車両の入換にバッテリー機関車が使用されてることで知られ、一部のマニアにはホットなスポットです。2011年訪問時は、展示されている他の保線車両とは異なりバッテリー機関車の車両諸元の説明パネルが無かったので職員の方に訊いたところ、いろいろ紆余曲折のうえ、最終的にメーカー納品時のガリ版刷りの資料を拝見することができました。その成果は、鉄道ピクトリアル2012年2月号で発表済みですが、雑誌の方はほかの機関車の諸元とメッシュを揃えるために掲載せず捨てているデータがあるので、この機会に調査したデータを一通り発表しておきましょう。

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■福岡市交通局 車両入換機 (バッテリー機関車)

  • 型  式  :  BL30-MR-SCR-1067
  • 自  重  :  30t
  • 車軸配置 :  B
  • 牽引力  :  定格3,000kg 最大7,500kg
  • 速  度  :  定格14km/h 最大25km/h
  • 車体番号 :  NO4402001
  • 製造年月 :  1980年1月
  • 製造者  :  日本輸送機株式会社
  • 製造番号 :  4402001
  • 全  長  :  8,000mm(連結面間)
  • 全  幅  :  2,750mm
  • 全  高  :  3,600mm(ライト含む)
  • 最少曲線半径:40m
  • 主電動機出力:62kW(全閉型)×2個 (端子電圧224V)
  • 制御方式 :  回生ブレーキ付サイリスタチョッパ制御
  • 蓄電池  :  VCI-9C 鉛蓄電池 (240V)
  • 蓄電池容量: 612Ah/5hr × 2(前後のボンネット内に各1個ずつの意)
  • 蓄電池電槽数:120個 × 2並列
  • 充電器電源:  三相交流440V60Hz
  • 充電時間 :  8時間

※独自調査による。無断引用・転載禁止。

Meinohama201104

また一際目を惹いたのがこちら。東京メトロより譲渡されたモータカーです。東京メトロでは何かの測定用に使用されていたらしいとのことでしたが、福岡市営地下鉄ではバラストトロッコの牽引など専ら機関車として使用されているそうです。

  • 全 長 : 8.3m
  • 全 幅 : 2.76m
  • 全 高 : 3.85m
  • 自 重 : 22t
  • 機関出力: 272ps
  • 型 式 : MR1551
  • 製造者 : 松山重車輛工業
  • 製造年月: 1996年(平成8年)3月
  • 製造番号: 102427

※この車両は2013年に新型軌道モータカーによってリプレイスされ、現存しません。

Meinohama201105

いっぽうこちらは、車両入換機と同じニチユ製の蓄電池駆動の電気測定機です。

  • 全 長 : 8,000mm
  • 全 幅 : 2,600mm
  • 全 高 : 4,100mm
  • 自 重 : 約13t
  • 主電動機出力:14kW ×2台
  • 走行速度: 最高35km/h(単車)、最高6km/h(作業台運転)
  • 主な検測機器:ATC受信機、ATO送受信機、列車無線送受信機、データ無線送受信機
  • 製造者 : 日本輸送機
  • 製造年月: 2005年3月
  • 製造番号: 不明(製造番号位置に刻印無し)
            ただし銘板右下端に12403 00060の陰刻あり

他にも保線車両は展示されていましたが、すべて紹介すると訪問する楽しみが減るのでこの辺で。今年も10月23日に開催される予定です。

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2016年8月30日 (火)

【くろがね線を読み解く】第235回■小倉地区の機関車D107

 2016年夏、小倉の某ホテルに泊まりY製鐵所小倉地区の夜景を見ながら眠りについた翌朝、何気なく窓を開けると、思わぬものを発見した。小倉地区に所属しているディーゼル機関車D107が見えたのである。

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これまで弊ブログでは、形式写真を障害物無しで撮れた車両しか紹介していないが、この機関車はめったに動くことが無く、撮れる場所まで出てきてくれる見込みがないため、正面からの俯瞰を紹介する。

 D107は、1967年に日本輸送機で製作されたL型エンドキャブの2軸機関車で、新製配置は住友金属工業小倉製鉄所(*)、自重は25t、製造番号は1178001である。正面から見ただけでは全く判断できないのだが、最終動力伝達方式はロッド駆動で、SLのように2つの車輪は連結棒で接続されている。キャブの前面窓は、屋根の丸みに沿って傾斜の付いた独特な形状で、ボンネット先端のラジエーターカバーの形状と相まってニチユらしさが感じられるデザインである。背後に記号番号不明の同型機が写っているが、そのキャブ非公式側をよく見てみると、ボンネット先端公式側の簡易運転台とちょうど点対称の位置にも同様の装備のあることが分かる。いつか動くところを見てみたい機関車である。

(*)2000年4月に分社化されて住友金属小倉→2012年1月に住友金属工業と合併→同年4月に新日鐵住金小倉製鉄所→2014年4月1日付でY製鐵所と統合、現在はY製鐵所小倉地区

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2013年3月 6日 (水)

★近畿車輛のスイッチャー★ニチユ10t

 鉄道車両メーカーの工場は撮影禁止であることが多く、入換で敷地外へ出てくるもの以外は積極的に撮っていませんが、ここはもう外から全く見えなくなりましたので、ブログに出しても良いでしょう。

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■近畿車輛No2。ロッド駆動でキャブが左右非対称の独特な形態。 2011年5月7日 

これは、大阪の車両メーカー「近畿車輛」の入換用スイッチャーです。

近畿車輛は都市近郊の住宅密集地に立地しており、敷地面積があまり広くはありません。このため場内の線路の配線にも苦労した様子がうかがえ、片町線への入出場線と敷地内の試運転線が直接繋がっていないという、他の車両メーカーに類を見ない特殊な構造になっています。

入出場線と試運転線は遷車台(トラバーサー)で結ばれており、このスイッチャーはトラバーサーに乗せる車両の牽引用として使用されています。もちろん、新製車両の試運転を行うために工場から引っ張り出して編成を組成する際にも使用されます。

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車体表記や銘板から読み取れる車両の諸元は次の通りです。

  • 記号番号    No.2
  • 自   重    10t
  • 最大牽引両数 15両
  • 最高速度    8km/h
  • 管理番号    641-02
  • 製造年     1964年(昭和39年)6月
  • 製造者     日本輸送機
  • 型   式    DL10HC1067
  • 製造番号    1066001

ニチユの10t機といえば、国鉄貨物駅向けの凸型移動機が思い浮かびますが、この車両は同じ10tながらL型で風変りです。

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■かつては防水シート?が被せられ、気の毒な姿をしていた。 2010年3月13日

 この写真を撮影した場所は、コンクリートの塀になぜか幅1cmほどの隙間が空いていて、中を覗くとスイッチャーが!? 背伸びして何とか撮れたものです。2012年頃に工場が東側へ拡張された際、敷地を取り囲む塀がすべて改築されたため、もう撮れなくなりました。

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 かつて試運転線の北端はこのようになっていて、試運転中の車両が外からふつうに見えたものです。もちろんこの場所にも、現在では高さ3メートルはあろうかという巨大な塀ができていますので、見ることはできません。

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 門から(当時)新製中のE259系がチラッと見えました。いうまでもないことですが、現在この場所にはコンクリート製の強固な塀が完成しており、守衛さんも常駐するようになったので、撮影することはできません。

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2012年7月16日 (月)

◆紀伊国のキイろいスイッチャー◆4社揃い踏み

 連休2日間は紀伊国で過ごしました。日差しは強いものの気温はそれほどでもなく、日陰で風にあたっていれば、待つのもそれほど苦にならないですね。

D79

北陸重機工業製の65t機、D-79。ここ数年で数を増やしております。私は、D-80まで存在するのを確認しています。小松製600psエンジン搭載。

D33

日立製作所製の45t機、D-33。このタイプがまだまだ主力です。1966年(昭和41年)製、製造番号12860、渡辺台帳によるとこうなっています。日立のサプライリストによると、エンジンは新潟鉄工所製DMF31SB(500ps/1500rpm)、トルコンは新潟コンバーター製DB138と、標準的な構成です。もちろん、事故廃車による振替や機関換装などがあり得るので、あくまでも竣工時の諸元ということで。

D60_d49

D-60がD-49を牽引して重連風にやってきました。前者は1970年(昭和45年)製の45t機、製造番号13140、後者は1968年(昭和43年)製の45t機、製造番号12970です。いずれも日立製作所製で、性能的には上のD-33とまったく同一です。

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言わずと知れた製紙メーカーのスイッチャー、BH205。1968年(昭和43年)日本輸送機製の15t機で、製造番号1193002。ロッドを介して動力を伝達する古典的な方式です。検査期限を過ぎているにもかかわらず検査表記が更新されていません(次回検査表記がありません)が、検査をしていないわけではありません。次回検査をしてまで使い続けるつもりは無いということでしょう。

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こちらは、日立製作所製25t機の代わりに使用されている、予備機のDL-106です。1973年(昭和48年)日本車輌製造製の25t機で、製造番号2970。岩堀春夫氏のホームページに掲載されているないねんコラムに触発されて、このアングルから。

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2011年10月22日 (土)

★阪急電鉄★正雀工場のバッテリーロコ

 私鉄のスイッチャーシリーズ。締めとなる第3回は、阪急電鉄のスイッチャーです。

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■正雀駅ホームより正雀車庫を臨む    2011年9月20日

 阪急電鉄正雀工場は、1968年12月に正雀車庫の西側に新設された車両工場で、阪急電鉄全車両の全般検査、重要部検査の施行、および更新・修繕工事等を実施しています。

1968年以前の車両工場は、京都線用車両を担当する(旧)正雀工場と、神宝線用車両を担当する西宮工場に分かれていました。これは、京都線(元 新京阪電鉄)と神宝線(元 阪神急行電鉄)の成り立ちの違いに由来します。京都線は開業時から直流1,500Vで電化されていたのに対し、神戸線は1967年に、宝塚線は1969年に昇圧されるまで、架線電圧は直流600Vでした。昇圧に伴い、車両工場も現在の正雀工場に統合されることになりました。

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■重連で建屋から出場してきたバッテリー機関車  2011年9月20日

 工場内で入換に従事するスイッチャーは、工場の営業日である平日に動きます。2011年9月19日に奥野さん西宮後さんに誘われて峠のバッテリー機関車を撮影し、翌朝9時頃訪れてみると、早速撮ることができました。二日連続でバッテリー機関車を見られるとは思いませんでした。

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重連で出場したバッテリー機関車は一旦停止し、建屋の前で切り離された先頭のBL1が、単独で手前(北側)に移動してきました。キャブの中をのぞいてみると、後ろのBL2にも運転手が乗っていますので、2台別々に同時に動くこともありそうです。

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手前に引き上げてきたBL1が左奥へ移動し、今度はBL2も同じように引き上げ、右奥へ移動しました。どうやらこれから電車が入場するようです。

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正雀駅側から、大阪市交通局堺筋線直通運転対応の3300系電車が入換扱いで入場します。

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種別幕が「普通」から「救援」へと変わりました。どうも工場入場中の車両はこの幕を表示していることが多いようです。

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河原町寄りの4両が切り離され、北側の突っ込み線へ引き上げると、残された梅田寄りの4両もほぼ同時に正雀駅側へ引き上げます。

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河原町寄りの4両が、救援幕を出したまま推進運転で工場建屋へと入場します。

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同時に梅田寄りの4両が推進運転で40番線に入線します。

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それが終わると、右側に待機していたBL2が動き出し、入場した編成の先頭に連結されました。そのまましばらく動きが無かったので、1kmほど離れた場所にある別の車両基地へ移動しました。そこにもスイッチャーが配置されているのです。

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11時頃に戻ってみると、今度はBL1が工場建屋から電車を引き出す場面に遭遇しました。同じ3300系でしょうか。

 正雀工場の入換機BL1、BL2は、2011年3月に導入されたバッテリー機関車です。製造者は、バッテリー機関車の製造で有名な新トモエ電機工業です。昨年報告したJR西日本吹田工場の15屯バッテリー機関車がほぼ同型ですが、細部は異なります。

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このオレンジの機関車が吹田工場の車両ですが、まず注目すべきなのはボンネットの長さの違いです。

吹田の車両はボンネット端が台枠端より内側にあり、端梁とボンネットの間にスペースがありますが、正雀の車両はボンネットが端梁まで伸びていて、端梁と面一になっています。ボンネットには蓄電池が格納されていますから、ボンネットが長いのは蓄電池容量が大きいためか、死重を積んでいるためと思われ、その分自重は吹田の車両(15t)より大きく20~25t程度はあるのではないかと思われます。詳細スペックについては、鉄道ピクトリアル2012年2月号をご覧ください。

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引き出された電車は、正雀駅方向に向かって押し込まれ、

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転線して40番線に引き込まれます。

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この位置まで引き込まれて止まりました。すると今度は…

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工場建屋からBL2が別の電車を引き出しました。系列はよく分かりませんが、編成をさらに分割して別の線路へ押し込んでいきました。

正雀工場は歩道の無い道路からフェンス越しに撮ることしかできないため、報告が少ないですが、新型バッテリー機関車の動きを捉えることができたのは幸運でした。この場所は平日の交通量が大変多いため、車の往来には気を使った方がよさそうです。

●初代BL1、BL2

Bl1 Bl2

 以前、大阪市交通局緑木検車場のバッテリー機関車の記事で紹介しましたが、正雀工場では2011年3月まで日本輸送機製のバッテリー機関車が使用されていました。記号番号は同じくBL1、BL2でした(初代BL1、BL2とします)。新型機の切り抜き文字のナンバーを見る限り、BL1、BL2共に初代BL1、BL2のものを剥がして取り付けているようです。2011年3月に初代BL1、BL2が廃車になり、解体待ちのため工場裏手に置かれていた際に、ナンバーの切り抜き文字が取り外されているのを目撃した方がいますので、間違いないでしょう。

 ところで、初代BL1、BL2には、ナンバー以外にも見分けるポイントがありましたがご存知でしょうか。上の写真で比較するとよく分かりますが、初代BL1とBL2は、製造年が異なるため屋根形状が異なっていました。また端梁に施された黄色いラインが、BL1は1本、BL2は2本という相違点もありました。新型機には、このような分かりやすい見分けポイントはありませんが、よくみるとちゃんと違う部分があります。気づきましたか? 

【参考】

  • 『鉄道ピクトリアル』特集 阪急電鉄、1989年12月増刊号
  • 『鉄道ピクトリアル』特集 阪急電鉄、1998年12月増刊号

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2011年5月16日 (月)

★南四日市のスイッチャー★今は無き予備機の予備 ニチユ15t

 南四日市を連絡駅とする専用線は数多くありましたが、最後まで残っていたのが化学メーカーM社専用線とJ社専用線です。これらの入換用として活躍していたのは、総合物流メーカーS社のスイッチャーです。

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■山九のスイッチャーDB15 1961年日本輸送機製、製番883002  2010年2月

中でも、予備機のニチユの15t機は稼動頻度が低いことで知られていました。かくいう私も貨車を牽いて動くところを撮影したことはありません。 このDB15は、1961年にS社に新製配置されて以来、ずっとこの駅に連絡する専用線で活躍していました。2008年3月にM社が貨車出荷を終了してからは、残ったJ社専用線で稼動することもなく駅構内に留置されていました。その後、2010年夏までに撤去されています。

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■非公式側は連結棒を下におろしたスタイルで留置    2010年2月

では、朝日新聞社『世界の鉄道’70』より、この車両のスペックを明らかにしてみましょう。

  • 記号番号 :  DB15
  • 形   式 :  DL15-HC-1067
  • 製造年  :  1961年(昭和36年)
  • 製造所  :  日本輸送機
  • 自   重 :  15t
  • 車軸配置 :  B
  • 動輪径  :  860mm
  • 全   長 :  6,050mm
  • 幅     :  2,570mm
  • 高   さ :  3,300mm
  • エンジン :  日野自動車製 DA59C
  • 液体変速機: 岡村製作所製 CRM2016
  • 動力伝達方式:ロット
  • 最高速度:  20.6km/h

エンジンにはトラック用の汎用品が採用されています。イニシャルコストのみならずメンテナンスコストの低減をも狙っていたのでしょう。同時代に製造された日車や日立のスイッチャーの多くは、国鉄のディーゼルカーと同様に神鋼造機DMH17系のエンジンを搭載していましたので、先見性があったと言えるのでしょうか。岡村製作所のトルコンは、ニチユやカトーなどの小型移動機によく採用されているようです。 

Nylr15b_uob

2エンド側からも形態をチェック。南四日市駅は、留置貨車がない場合は鉄道敷地外から望遠でスイッチャーを撮影することができるのも魅力のひとつです。

●正月恒例の注連飾り

 毎年年末年始には、全国の専用線で安全祈願のために注連飾りをつけたスイッチャーを見ることができますが、ここ南四日市も例外ではありません。

Nylr15b_shimekazari
■妻面に注連飾りを取り付けたDB15。年末年始限定の姿である。  2008年12月

というわけで、とっておきの写真をご覧に入れましょう。3年前の年末に撮影した、注連飾り付ニチユ15tです。

Nylr15b_shimekazari_f

ニチユのロット駆動のスイッチャーというだけでも珍しい存在なのに、さらに注連飾りを着けているとは…、レアですねぇ。

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2010年11月24日 (水)

★大阪市営地下鉄★緑木のバッテリーロコ

 毎年恒例の「大阪市営交通フェスティバル」が2010年11月14日、大阪市交通局緑木検車場で開催されました。参加するのは初めてです。ニチユのスイッチャーが配置されていると聞き、遥々東京から駆けつけました。

Entrance

 大阪市交通局緑木検車場は、大阪市営地下鉄四つ橋線の北加賀屋駅に連絡している車両基地です。車両工場(緑木車両管理事務所)も併設しており、四つ橋線のみならず御堂筋線の車両の検査修繕も担当しています。検車場は高い塀に囲まれており、外から見える場所は限られていますが、毎年1回公開イベントが開催される際、中の様子をじっくり見学することが出来ます。

Series23

構内へ入ってみると、屋外の留置線に四つ橋線用23系が並んでいました。しかし、他の事業者の車両基地公開時によくありがちな、ヘッドマーク掲出や撮影会などは、一切ありません。その代わり、保存車両の展示・説明や実演に力を入れた、学び重視のイベントになっています。

Series30

 まず最初に見学したのが、元・四つ橋線用30系の展示コーナー。この3062形は、引退後、当検車場で保存されていた車両です。説明担当者によれば、今年はきちんと整備をして、場内を自走できるまでになったそうです。ゆくゆくは、人を乗せて走れるようにしたいと、夢を語っていました。

Teiko_cum M_seigyoki_3 Tenkan_cum

この30系、最大の見せ場は主制御器の実演です。運転台でマスコンが力行側へ動かされると、連動して写真左の抵抗カムが動き出します。さらに、加速に伴ってノッチが進段されると、カムがガチャガチャと動き、写真中央の主制御器の回路構成が自動的に変更されていく様子を真近に見ることが出来ます。こういった実演が見られる機会は限られますので、大変貴重です。

 次に屋外に出てみると、マルタイ実演やレール削正車の見学が行われていました。どちらも、車両基地公開時によくある光景ですから珍しくありませんが、私の興味をそそったのが、コレ。

Fan_w_mc

はて、これは何でしょうか。巨大な扇風機のようにも見えますが……。早速近くにいる職員に聞いてみました。

トンネル内で、マルタイやレール削正車が仕事をすると、砂利やレールの削り滓が飛散して大量の粉塵が発生します。その粉塵を、このファンでトンネル外部へ強制排出するのだそうです。なんだかローテクな機械ですが、いかにも地下鉄ならではと言えるかもしれません。電源については、トンネル内のコンセントから受電するとのことで、モータカーはあくまでも牽引するだけで給電はしないそうです。

2f_behind 

 今度は、市電保存館に入ってみます。日本の2階建て車両の歴史が語られる場面で必ず登場するのが、この車両。大阪市交通局の2階建て路面電車「5号車」です。正しくは、2階「付」路面電車、今回実車と初対面です。「2階から家の中を覗かれる」と線路沿いの住民からクレームが絶えなかったと聞いています。眺望はどの程度のものかと思いましたが、残念ながら2階に上がることは出来ませんでした。

2f_stairway 2f_cab

2階へは、お洒落な螺旋階段で。階段のすぐ前に運転台があり、運転士は落ち着かなかったでしょうね。

2f_meiban

車内には、戦後に復元された際の銘板がついています。

 さて、場内を一通り回りましたが、残念ながらニチユのバッテリーロコを発見することは出来ませんでした。ブログなどを検索してみると、昨年は旧100形車両の近くに屋外展示されていたようですが、今年は同じ場所に100形しか置かれていませんでした。どうしたものか。

適当に職員を見つけて聞いてみると、車体吊り上げ作業実演コーナーの近くに置いてあるとのこと。早速急行です。

Bl

これが、遂に見つけた、日本輸送機の蓄電池機関車です。工場の機械扱いで車両ではないため形式というのは特にありませんが、識別するための番号として、備品番号「914-61328」と呼称しておきましょう。1986年(昭和61年)製の20t機で、製造番号は4597001です。同型機には、阪急電鉄正雀工場で活躍中のBL2などがあります。BL1も同型、と言いたいところですが、製造年が異なるため屋根の形など細部が異なります。

Bl1 Bl2

左がBL1で、右がBL2です。1978年(昭和53年)製のBL1は、屋根の両端に角度がつけられており平面構成になっていますが、1985年(昭和60年)製のBL2は丸屋根です。緑木の機関車の形態は、製造年の近い後者と同一になっています。

Bl_w_23

ここでもやはり職員を見つけて色々聞いてみました。

  • 機関車はディーゼルではなく蓄電池駆動で、回生ブレーキ付サイリスタチョッパ制御方式
  • 以前使用されていた、丸みを帯びたニチユの機関車は、もう廃車になっており現存しない。
  • 検車場の南側の門からなら、公開時でなくてもこの機関車を撮影できる。
  • 入換で動くのは、検査対象の車両が工場に入場してから2日後。たとえば、四つ橋線用23系6両編成の場合は、2+4に2分割して2回に分けて検査するので、入場の2日後、4日後にバッテリー機関車に牽引されて南端まで移動する。このときが撮影チャンス。
  • お勧めは、御堂筋線用21系が入場した場合。10両編成は、2+3+3+2に4分割されるため、入換の機会も4回あり、撮影チャンスも倍増。
  • 大阪市の方針で、森之宮検車場との統合が予定されているが、統合時に新型機関車を導入する予定がある。
  • 現在の機関車については、統合時に廃車にはせず更新して使い続ける予定。ただし正式決定ではない。

23_w_bl

四つ橋線用23系と連結された状態で展示。昨年は屋外展示でしたが、今年は入換作業の光景をイメージできるよう、あえて車両と連結した状態にしてみたとのことでした。質疑応答で15分ほど足止めしてしまいました。懇切丁寧にご説明いただき、大変勉強になりました。お礼を述べて現場を後にしました。なお本機関車の詳細スペックについては、鉄道ピクトリアル2012年2月号をご覧ください。

 首都圏の車両基地公開イベントのほとんどは、写真撮影会・グッズ即売会の様相を呈しています。いっぽう緑木検車場のイベントは、「展示」「実演」「解説」に軸足を置いた内容になっており、大変充実した1日を過ごすことが出来ました。

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