カテゴリー「 H.ニチユのスイッチャー」の5件の記事

2016年8月30日 (火)

【くろがね線を読み解く】第235回■小倉地区の機関車D107

 2016年夏、小倉の某ホテルに泊まりY製鐵所小倉地区の夜景を見ながら眠りについた翌朝、何気なく窓を開けると、思わぬものを発見した。小倉地区に所属しているディーゼル機関車D107が見えたのである。

Kokura11d107w_2

これまで弊ブログでは、形式写真を障害物無しで撮れた車両しか紹介していないが、この機関車はめったに動くことが無く、撮れる場所まで出てきてくれる見込みがないため、正面からの俯瞰を紹介する。

 D107は、1967年に日本輸送機で製作されたL型エンドキャブの2軸機関車で、新製配置は住友金属工業小倉製鉄所(*)、自重は25t、製造番号は1178001である。正面から見ただけでは全く判断できないのだが、最終動力伝達方式はロッド駆動で、SLのように2つの車輪は連結棒で接続されている。キャブの前面窓は、屋根の丸みに沿って傾斜の付いた独特な形状で、ボンネット先端のラジエーターカバーの形状と相まってニチユらしさが感じられるデザインである。背後に記号番号不明の同型機が写っているが、そのキャブ非公式側をよく見てみると、ボンネット先端公式側の簡易運転台とちょうど点対称の位置にも同様の装備のあることが分かる。いつか動くところを見てみたい機関車である。

(*)2000年4月に分社化されて住友金属小倉→2012年1月に住友金属工業と合併→同年4月に新日鐵住金小倉製鉄所→2014年4月1日付でY製鐵所と統合、現在はY製鐵所小倉地区

【注意】
 当記事掲載の写真は、特記の無い限りすべて公道(もしくは社会通念上立入りの許される区域)から撮影したものです。無断で私有地・社有地等へ立ち入ることは絶対におやめください。

【著作権の表示】
 当ブログの著作権者は、特記の無い限り、私 「社長」です。当ブログのすべての文章・写真・図面および図表は、日本国の法律(著作権法)と国際条約によって保護されています。改変したものも含めて、著作権者に無断で複製・配布することは出来ません。

| | コメント (0)

2013年3月 6日 (水)

★近畿車輛のスイッチャー★ニチユ10t

 鉄道車両メーカーの工場は撮影禁止であることが多く、入換で敷地外へ出てくるもの以外は積極的に撮っていませんが、ここはもう外から全く見えなくなりましたので、ブログに出しても良いでしょう。

Kinkino2_n
■近畿車輛No2。ロッド駆動でキャブが左右非対称の独特な形態。 2011年5月7日 

これは、大阪の車両メーカー「近畿車輛」の入換用スイッチャーです。

近畿車輛は都市近郊の住宅密集地に立地しており、敷地面積があまり広くはありません。このため場内の線路の配線にも苦労した様子がうかがえ、片町線への入出場線と敷地内の試運転線が直接繋がっていないという、他の車両メーカーに類を見ない特殊な構造になっています。

入出場線と試運転線は遷車台(トラバーサー)で結ばれており、このスイッチャーはトラバーサーに乗せる車両の牽引用として使用されています。もちろん、新製車両の試運転を行うために工場から引っ張り出して編成を組成する際にも使用されます。

Kinkino2_n2

車体表記や銘板から読み取れる車両の諸元は次の通りです。

  • 記号番号    No.2
  • 自   重    10t
  • 最大牽引両数 15両
  • 最高速度    8km/h
  • 管理番号    641-02
  • 製造年     1964年(昭和39年)6月
  • 製造者     日本輸送機
  • 型   式    DL10HC1067
  • 製造番号    1066001

ニチユの10t機といえば、国鉄貨物駅向けの凸型移動機が思い浮かびますが、この車両は同じ10tながらL型で風変りです。

Kinkino2_o
■かつては防水シート?が被せられ、気の毒な姿をしていた。 2010年3月13日

 この写真を撮影した場所は、コンクリートの塀になぜか幅1cmほどの隙間が空いていて、中を覗くとスイッチャーが!? 背伸びして何とか撮れたものです。2012年頃に工場が東側へ拡張された際、敷地を取り囲む塀がすべて改築されたため、もう撮れなくなりました。

Kinki_testcourse

 かつて試運転線の北端はこのようになっていて、試運転中の車両が外からふつうに見えたものです。もちろんこの場所にも、現在では高さ3メートルはあろうかという巨大な塀ができていますので、見ることはできません。

Kinki_e259

 門から(当時)新製中のE259系がチラッと見えました。いうまでもないことですが、現在この場所にはコンクリート製の強固な塀が完成しており、守衛さんも常駐するようになったので、撮影することはできません。

にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道路線・車両研究へ にほんブログ村 鉄道ブログ 貨物列車へ
にほんブログ村 (鉄道ブログポータルサイト)

【注意】
 当記事掲載の写真は、特記の無い限りすべて公道(もしくは社会通念上立入りの許される区域)から撮影したものです。無断で私有地・社有地等へ立ち入ることは絶対におやめください。

【著作権の表示】
 当ブログの著作権者は、特記の無い限り、私 「社長」です。当ブログのすべての文章・写真・図面および図表は、日本国の法律(著作権法)と国際条約によって保護されています。改変したものも含めて、著作権者に無断で複製・配布することは出来ません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年7月16日 (月)

◆紀伊国のキイろいスイッチャー◆4社揃い踏み

 連休2日間は紀伊国で過ごしました。日差しは強いものの気温はそれほどでもなく、日陰で風にあたっていれば、待つのもそれほど苦にならないですね。

D79

北陸重機工業製の65t機、D-79。ここ数年で数を増やしております。私は、D-80まで存在するのを確認しています。小松製600psエンジン搭載。

D33

日立製作所製の45t機、D-33。このタイプがまだまだ主力です。1966年(昭和41年)製、製造番号12860、渡辺台帳によるとこうなっています。日立のサプライリストによると、エンジンは新潟鉄工所製DMF31SB(500ps/1500rpm)、トルコンは新潟コンバーター製DB138と、標準的な構成です。もちろん、事故廃車による振替や機関換装などがあり得るので、あくまでも竣工時の諸元ということで。

D60_d49

D-60がD-49を牽引して重連風にやってきました。前者は1970年(昭和45年)製の45t機、製造番号13140、後者は1968年(昭和43年)製の45t機、製造番号12970です。いずれも日立製作所製で、性能的には上のD-33とまったく同一です。

Udono_bh205

言わずと知れた製紙メーカーのスイッチャー、BH205。1968年(昭和43年)日本輸送機製の15t機で、製造番号1193002。ロッドを介して動力を伝達する古典的な方式です。検査期限を過ぎているにもかかわらず検査表記が更新されていません(次回検査表記がありません)が、検査をしていないわけではありません。次回検査をしてまで使い続けるつもりは無いということでしょう。

Udono_dl106

こちらは、日立製作所製25t機の代わりに使用されている、予備機のDL-106です。1973年(昭和48年)日本車輌製造製の25t機で、製造番号2970。岩堀春夫氏のホームページに掲載されているないねんコラムに触発されて、このアングルから。

にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道路線・車両研究へ にほんブログ村 鉄道ブログ 貨物列車へ
にほんブログ村 (鉄道ブログポータルサイト)

【注意】
 当記事掲載の写真は、特記の無い限りすべて公道(もしくは社会通念上立入りの許される区域)から撮影したものです。無断で私有地・社有地等へ立ち入ることは絶対におやめください。

【著作権の表示】
 当ブログの著作権者は、特記の無い限り、私 「社長」です。当ブログのすべての文章・写真・図面および図表は、日本国の法律(著作権法)と国際条約によって保護されています。改変したものも含めて、著作権者に無断で複製・配布することは出来ません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年5月16日 (月)

★南四日市のスイッチャー★今は無き予備機の予備 ニチユ15t

 南四日市を連絡駅とする専用線は数多くありましたが、最後まで残っていたのが化学メーカーM社専用線とJ社専用線です。これらの入換用として活躍していたのは、総合物流メーカーS社のスイッチャーです。

Nylr15b_of
■山九のスイッチャーDB15 1961年日本輸送機製、製番883002  2010年2月

中でも、予備機のニチユの15t機は稼動頻度が低いことで知られていました。かくいう私も貨車を牽いて動くところを撮影したことはありません。 このDB15は、1961年にS社に新製配置されて以来、ずっとこの駅に連絡する専用線で活躍していました。2008年3月にM社が貨車出荷を終了してからは、残ったJ社専用線で稼動することもなく駅構内に留置されていました。その後、2010年夏までに撤去されています。

Nylr15b_uof
■非公式側は連結棒を下におろしたスタイルで留置    2010年2月

では、朝日新聞社『世界の鉄道’70』より、この車両のスペックを明らかにしてみましょう。

  • 記号番号 :  DB15
  • 形   式 :  DL15-HC-1067
  • 製造年  :  1961年(昭和36年)
  • 製造所  :  日本輸送機
  • 自   重 :  15t
  • 車軸配置 :  B
  • 動輪径  :  860mm
  • 全   長 :  6,050mm
  • 幅     :  2,570mm
  • 高   さ :  3,300mm
  • エンジン :  日野自動車製 DA59C
  • 液体変速機: 岡村製作所製 CRM2016
  • 動力伝達方式:ロット
  • 最高速度:  20.6km/h

エンジンにはトラック用の汎用品が採用されています。イニシャルコストのみならずメンテナンスコストの低減をも狙っていたのでしょう。同時代に製造された日車や日立のスイッチャーの多くは、国鉄のディーゼルカーと同様に神鋼造機DMH17系のエンジンを搭載していましたので、先見性があったと言えるのでしょうか。岡村製作所のトルコンは、ニチユやカトーなどの小型移動機によく採用されているようです。 

Nylr15b_uob

2エンド側からも形態をチェック。南四日市駅は、留置貨車がない場合は鉄道敷地外から望遠でスイッチャーを撮影することができるのも魅力のひとつです。

●正月恒例の注連飾り

 毎年年末年始には、全国の専用線で安全祈願のために注連飾りをつけたスイッチャーを見ることができますが、ここ南四日市も例外ではありません。

Nylr15b_shimekazari
■妻面に注連飾りを取り付けたDB15。年末年始限定の姿である。  2008年12月

というわけで、とっておきの写真をご覧に入れましょう。3年前の年末に撮影した、注連飾り付ニチユ15tです。

Nylr15b_shimekazari_f

ニチユのロット駆動のスイッチャーというだけでも珍しい存在なのに、さらに注連飾りを着けているとは…、レアですねぇ。

にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道路線・車両研究へ にほんブログ村 鉄道ブログ 貨物列車へ
にほんブログ村 (鉄道ブログポータルサイト)

【注意】
 当記事掲載の写真は、特記の無い限りすべて公道(もしくは社会通念上立入りの許される区域)から撮影したものです。無断で私有地・社有地等へ立ち入ることは絶対におやめください。

【著作権の表示】
 当ブログの著作権者は、特記の無い限り、私 「社長」です。当ブログのすべての文章・写真・図面および図表は、日本国の法律(著作権法)と国際条約によって保護されています。改変したものも含めて、著作権者に無断で複製・配布することは出来ません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月24日 (水)

★大阪市営地下鉄★緑木のバッテリーロコ

 毎年恒例の「大阪市営交通フェスティバル」が2010年11月14日、大阪市交通局緑木検車場で開催されました。参加するのは初めてです。ニチユのスイッチャーが配置されていると聞き、遥々東京から駆けつけました。

Entrance

 大阪市交通局緑木検車場は、大阪市営地下鉄四つ橋線の北加賀屋駅に連絡している車両基地です。車両工場(緑木車両管理事務所)も併設しており、四つ橋線のみならず御堂筋線の車両の検査修繕も担当しています。検車場は高い塀に囲まれており、外から見える場所は限られていますが、毎年1回公開イベントが開催される際、中の様子をじっくり見学することが出来ます。

Series23

構内へ入ってみると、屋外の留置線に四つ橋線用23系が並んでいました。しかし、他の事業者の車両基地公開時によくありがちな、ヘッドマーク掲出や撮影会などは、一切ありません。その代わり、保存車両の展示・説明や実演に力を入れた、学び重視のイベントになっています。

Series30

 まず最初に見学したのが、元・四つ橋線用30系の展示コーナー。この3062形は、引退後、当検車場で保存されていた車両です。説明担当者によれば、今年はきちんと整備をして、場内を自走できるまでになったそうです。ゆくゆくは、人を乗せて走れるようにしたいと、夢を語っていました。

Teiko_cum M_seigyoki_3 Tenkan_cum

この30系、最大の見せ場は主制御器の実演です。運転台でマスコンが力行側へ動かされると、連動して写真左の抵抗カムが動き出します。さらに、加速に伴ってノッチが進段されると、カムがガチャガチャと動き、写真中央の主制御器の回路構成が自動的に変更されていく様子を真近に見ることが出来ます。こういった実演が見られる機会は限られますので、大変貴重です。

 次に屋外に出てみると、マルタイ実演やレール削正車の見学が行われていました。どちらも、車両基地公開時によくある光景ですから珍しくありませんが、私の興味をそそったのが、コレ。

Fan_w_mc

はて、これは何でしょうか。巨大な扇風機のようにも見えますが……。早速近くにいる職員に聞いてみました。

トンネル内で、マルタイやレール削正車が仕事をすると、砂利やレールの削り滓が飛散して大量の粉塵が発生します。その粉塵を、このファンでトンネル外部へ強制排出するのだそうです。なんだかローテクな機械ですが、いかにも地下鉄ならではと言えるかもしれません。電源については、トンネル内のコンセントから受電するとのことで、モーターカーはあくまでも牽引するだけで給電はしないそうです。

2f_behind 

 今度は、市電保存館に入ってみます。日本の2階建て車両の歴史が語られる場面で必ず登場するのが、この車両。大阪市交通局の2階建て路面電車「5号車」です。正しくは、2階「付」路面電車、今回実車と初対面です。「2階から家の中を覗かれる」と線路沿いの住民からクレームが絶えなかったと聞いています。眺望はどの程度のものかと思いましたが、残念ながら2階に上がることは出来ませんでした。

2f_stairway 2f_cab

2階へは、お洒落な螺旋階段で。階段のすぐ前に運転台があり、運転士は落ち着かなかったでしょうね。

2f_meiban

車内には、戦後に復元された際の銘板がついています。

 さて、場内を一通り回りましたが、残念ながらニチユのバッテリーロコを発見することは出来ませんでした。ブログなどを検索してみると、昨年は旧100形車両の近くに屋外展示されていたようですが、今年は同じ場所に100形しか置かれていませんでした。どうしたものか。

適当に職員を見つけて聞いてみると、車体吊り上げ作業実演コーナーの近くに置いてあるとのこと。早速急行です。

Bl

これが、遂に見つけた、日本輸送機の蓄電池機関車です。工場の機械扱いで車両ではないため形式というのは特にありませんが、識別するための番号として、備品番号「914-61328」と呼称しておきましょう。1986年(昭和61年)製の20t機で、製造番号は4597001です。同型機には、阪急電鉄正雀工場で活躍中のBL2などがあります。BL1も同型、と言いたいところですが、製造年が異なるため屋根の形など細部が異なります。

Bl1 Bl2

左がBL1で、右がBL2です。1978年(昭和53年)製のBL1は、屋根の両端に角度がつけられており平面構成になっていますが、1985年(昭和60年)製のBL2は丸屋根です。緑木の機関車の形態は、製造年の近い後者と同一になっています。

Bl_w_23

ここでもやはり職員を見つけて色々聞いてみました。

  • 機関車はディーゼルではなく蓄電池駆動で、回生ブレーキ付サイリスタチョッパ制御方式
  • 以前使用されていた、丸みを帯びたニチユの機関車は、もう廃車になっており現存しない。
  • 検車場の南側の門からなら、公開時でなくてもこの機関車を撮影できる。
  • 入換で動くのは、検査対象の車両が工場に入場してから2日後。たとえば、四つ橋線用23系6両編成の場合は、2+4に2分割して2回に分けて検査するので、入場の2日後、4日後にバッテリー機関車に牽引されて南端まで移動する。このときが撮影チャンス。
  • お勧めは、御堂筋線用21系が入場した場合。10両編成は、2+3+3+2に4分割されるため、入換の機会も4回あり、撮影チャンスも倍増。
  • 大阪市の方針で、森之宮検車場との統合が予定されているが、統合時に新型機関車を導入する予定がある。
  • 現在の機関車については、統合時に廃車にはせず更新して使い続ける予定。ただし正式決定ではない。

23_w_bl

四つ橋線用23系と連結された状態で展示。昨年は屋外展示でしたが、今年は入換作業の光景をイメージできるよう、あえて車両と連結した状態にしてみたとのことでした。質疑応答で15分ほど足止めしてしまいました。懇切丁寧にご説明いただき、大変勉強になりました。お礼を述べて現場を後にしました。なお本機関車の詳細スペックについては、鉄道ピクトリアル2012年2月号をご覧ください。

 首都圏の車両基地公開イベントのほとんどは、写真撮影会・グッズ即売会の様相を呈しています。いっぽう緑木検車場のイベントは、「展示」「実演」「解説」に軸足を置いた内容になっており、大変充実した1日を過ごすことが出来ました。

にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道路線・車両研究へ にほんブログ村 鉄道ブログ 私鉄・公営へ
にほんブログ村 (鉄道ブログポータルサイト)

【注意】
 当記事掲載の写真は、特記の無い限りすべて公道(もしくは社会通念上立入りの許される区域)から撮影したものです。無断で私有地・社有地等へ立ち入ることは絶対におやめください。

【著作権の表示】
 当ブログの著作権者は、特記の無い限り、私 「社長」です。当ブログのすべての文章・写真・図面および図表は、日本国の法律(著作権法)と国際条約によって保護されています。改変したものも含めて、著作権者に無断で複製・配布することは出来ません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)