カテゴリー「▼B.日立のスイッチャー」の61件の記事

2019年2月16日 (土)

★S社のスイッチャー★北陸重機重連No.15の小変化と異種重連

 四日市の近鉄塩浜駅近くにある石油元売会社S社の製油所には、JR貨物塩浜駅から専用側線が引き込まれており、石油製品が貨車で発送されています。専用側線内の車両入換は、日通が所有するスイッチャーによって行われます。

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 2018年末仕事納めのあと、青春18きっぷで東海道を下り、四日市に一泊してスイッチャーを撮ってきました。2017年から2018年にかけて、改造のため近鉄塩浜検修車庫に入場していた北陸重機工業製のスイッチャーNo.14が出場し、No.15と再び重連を組んで運用を始めたので、遅まきながら訪ねたというわけです。塩浜駅では、上写真手前の製油所側先頭がNo.14(2018年出場)、駅側がNo.15(2017年出場)の順になります。

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塩浜駅を出発し製油所へ向かう石油貨車(空車)編成。ここではDD51重連との並びがお馴染みの光景でしたが、JR貨物の本線貨物列車もDF200牽引のものが増えてきました。DF200は、北海道の石油輸送全廃で余剰となり、川重兵庫で軽軸重化改造のうえ200番台に区分され愛知機関区所属になった車両が充当されています。

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製油所から石油を積載した貨車を引き出す際に先頭になるのが、上写真手前のNo.15です。

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2018年末の四日市訪問の収穫は、二つあります。一つ目が上写真。右奥をよく見ると、東急電鉄から養老鉄道へ譲渡された元東急7700系電車が庫から顔を出しているのが見えるでしょうか。この時の7700系はちょうど、塩浜検修車庫での養老鉄道向け改造工事を終え、近畿車輌製の標準軌用仮台車を履いて、牽引用電車モトを連結し待機している状態でした。スイッチャーとのツーショットは貴重です。

養老鉄道への発送(塩浜→桑名)は2019年1月4日深夜に実施されています。今後も、全般検査などで7700系が塩浜検修車庫まで来ることがあれば、また近鉄モト+東急電車の走行シーンが見られるのでしょうか。

●2018年出場のNo.14と、実は小変化したNo.15

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 2018年に出場したNo.14は、2017年出場のNo.15と外観上の大きな差異はありません。LEDライト装備は入場前からですので、ボディの緑色部分が泡緑色に変わったくらいです。強いて変更点をあげれば、煙突の先端が延長されて直角に曲がった向きが、No.15とは逆であることくらいです。

……と、言いたいところですが、実はなんと2018年に出場したのとは異なる方、すなわち2017年出場のNo.15にも、小変化があったのです。この記事の3枚目の写真をよく観察すると、分かるかもしれません。これが二つ目の収穫ですね。

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いきなり答えになりますが、No.15の直角に曲がった煙突の先には、煙を拡散せず特定の方向に流すための板が取り付けられていたのです。この板は、2017年にNo.15が出場した際には存在しなかったので、出場後に取り付けられたものですね。

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反対側から見るともっと分かりやすいでしょうか。どこかのDIYショップにでも売ってそうな金具で取り付けてありますね(笑) No.14の方にはまだ付いていないので、今後どうなるか興味深いです。

●No.14不在時の、日立製作所製スイッチャーとの異種重連運用

 2017年には、No.14不在時にNo.15と日立製作所製No.11による異種メーカー製スイッチャー重連運用が見られました。

北陸重機重連の場合、BP・MRPなどブレーキ管の引き通し以外に、エンジン制御系のジャンパ連結器も接続しているため、重連総括制御が可能で、実際にしています。この記事の写真2枚目、4枚目を見ると分かるのですが、駅に向かう際も製油所に向かう際も、運転士がキャブの中に乗っているのは駅寄りのスイッチャーだけで、製油所寄りのスイッチャーのキャブの中は無人です。でもエンジン音はしますし煙もはくので、重連総括運転をしていますね。

これに対し、異種重連の場合はどうでしょう。

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日立と北陸重機の重連時は、両方のスイッチャーに運転士が乗っているのが分かります。異なる角度からの写真も見てみましょう。

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日立のキャブにも1人、

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後ろの北陸重機のキャブの中にも1人いますね。それでは、気になる連結部を見てみましょう。

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この通り、BPの引き通しのみで、MR管や制御系のケーブルは一切接続されていません。つまり重連総括制御が構造上できないため、運転士2人により協調運転をしているわけです。連結した貨車を含めた貫通ブレーキ(自動空気ブレーキ)だけは、一方の機関車から一律で制御できますが(SL+DLの重連と同じ)、MR管の接続がないので重連機関車のみの単独ブレーキが総括制御できず、少し使い勝手が悪くなりそうですね。

日立のNo.11の運転台にはブレーキ弁は1個しかないのですが、たしかブレーキ弁の下の方にレバーがあり、ブレーキホースへの空気の経路を絶ち単独ブレーキとしても使用できるようになっていたと思います(若干、記憶が曖昧ですが)。日立同士の重連ならば、機関車だけの単独ブレーキとして使えると思いますが、異種重連の場合はこのレバーは無意味な装備となりそうです。

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レバーってどんなもの?という興味のある方のために、日立製スイッチャー(某保存車)のキャブの中を見てみましょう。上の金色がブレーキ弁で、下の白いレバーが今は閉塞状態で単独ブレーキ、時計回りに90度回し解放で貫通ブレーキ(自動空気ブレーキ)です。

他所の専用鉄道では、レバーを解放し自動ブレーキ弁として使用している例もありますので、こちらの記事などで確認してみてください。

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2019年1月27日 (日)

【くろがね線を読み解く】第282回 ■4番扉前からの遠望

 運河の対岸から僅かに見えるY製鐵所小倉地区であるが、接岸している船舶がおらず、対岸に障害物が置かれていない場合に限り、編成を正面寄りから撮れる場所がある。知る人ぞ知る、4番扉の前である。

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私が見に行った日は、D506がビレット積載貨車1両を推進して、横持用ストックヤードへやってきた。

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長編成だと、最後尾の機関車が見える前に先頭の貨車が柱の陰に隠れてしまうため、貨車1両でないと収まらない。

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貨車を切り離し、単機で戻るD506。

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普段の場所へ追いかけて移動して見ると、このようなアングルとなる。日立製機関車D506とD503の違いについては、以前紹介したが、同じアングルで比較されたい。

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2019年1月22日 (火)

【くろがね線を読み解く】第281回 ■小倉地区の機関車D108

 Y製鐵所小倉地区の機関車の中から、今回はD108を紹介する。

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D108は、Y製鐵所小倉地区で唯一の、日立製2軸機関車である。1970年に小倉製鉄所へ新製配置された25t機で、以来余所へ転出することなく活躍を続けている。2016年に見かけた際は、上のように住友金属物流の前身であるエスケイケイ物流の塗装(クリーム色と紫色、台枠ゼブラ)のまま使用されていた。一見するとロッド駆動の丸屋根の規格型に見えるが、キャブ妻面中央の窓間に3つ目の窓があるなど、カスタマイズ部分も見受けられる。

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後位側からみても、やはり両窓間に3つ目の窓がある。諸元は以下の通り。

  • 記号番号 : D108
  • 製造年月 : 1970年4月
  • 製造者  : 日立製作所
  • 製造番号 : 13110
  • 自  重  : 25t
  • 車軸配置 : B
  • 最終動力伝達方式:ロッド駆動
  • エンジン : ニイガタDMH17C (180PS/1500RPM)
  • 液体変速機:ニイガタDB115
    ※エンジンは竣工時のもの。後年になり機関換装している可能性もある。

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小倉地区の2軸の機関車は、4軸の機関車とは運用が異なるようで、岸壁の見える場所まで出てきてくれることはほとんどない。2015~16年頃に、異なるタイミングで現地を訪問した複数のウォッチャーから目撃報告が集中した時期があり、おそらく4軸の機関車が検査や故障等の理由により運用を離脱していて、代走していたのではないかと思われる。かくいう私も、ビレット積載貨車1両を入れ換えている場面を2016年に撮影している。

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2017年に入ってから、Y製鐵所戸畑・八幡両地区の機関車に似た4色塗装へ変更され、ボンネット両脇の台枠上に手すりが増設された。それを除くと外観に大きな変化はないが、他の新塗装の機関車にあるキャブ側面の社名標記が、このD108には無い。

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前面から。ボンネット先端にLEDライトが2灯取り付けられたようだ。当初より製鉄所向けの機関車のため、端梁には貫通ブレーキのコックすら存在せず、のっぺりしている。小倉製鉄所は、かつて国鉄小倉駅から分岐する専用鉄道を所内に引き込んでおり(末期は浜小倉駅分岐)、貨車で原材料の受入れや製品の発送を行っていた。国鉄貨車を入れ換えるので、ブレーキホース取付有無はともかく、貫通ブレーキは装備していても不思議はなさそうだが、この機関車を含めて所内の全機関車が未装備のようである。

●住友金属工業小倉製鉄所専用鉄道廃線跡

 小倉製鉄所専用鉄道は、トワイライトゾーンマニュアル6によると少なくとも1983年(昭和58年)まで国鉄浜小倉駅分岐扱いで取り扱いを継続していた。国鉄と製鉄所の間の貨車の授受線のあった場所は、山陽新幹線と国道199号線の下敷きになり痕跡はあまり残っていないが、山陽新幹線と国道199号の間に残る細長い敷地に住友金属物流(現 日鉄住金物流西日本支店八幡営業所)の事務所があったり、住金小倉の不動産部門としての役割を担っていた小倉興産の建物(24号館)があったり、よく見れば跡地を転用したと思われる痕跡も散見される。また西小倉駅の北出口の跨線橋の下にあるスペースは、授受線の南側の一部で、そこから浜小倉駅に向かって訓練用の線路や資材置き場、JR九州小倉き電区などが帯状に連なっている。これも跡地の転用かもしれない。

当の専用鉄道本線はというと、国道が専用鉄道をオーバークロスする形で建設されたので、鹿児島本線から小倉製鉄所に向けて単線分のトンネルが用意され、2018年現在でも当時を偲ぶことができる。トンネル入口は、鹿児島本線西小倉駅上り線ホームの博多寄り先端から辛うじて見える。出口は社有地内にあるが、見通しが良いので下のように遠望することはできる。

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●留意事項

 聞くところによると、機関車を正面から見るアングルの場所は2017年度下半期頃から立ち入りが厳しくなっている模様で、樹木伐採による死角の除去(見える化)、フェンスの向こう側を通りがかった所員から注意されデジカメのSDカード初期化、テナントスタッフによる巡回声掛け注意、監視カメラ設置など規制が強化されているとの情報もある。機関車は他の場所でも撮れるので、近付かないのが無難であろう。

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2018年12月28日 (金)

【くろがね線を読み解く】第280回 ■小倉地区の機関車D503

 Y製鐵所小倉地区の機関車の中から、今回はD503を紹介する。

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D503は、1975年9月日立製作所製の2軸ボギーの機関車で、鉄鋼メーカーS社小倉製鉄所へ新製配置されたものである。先日紹介したD308同様のセンターキャブ式だが、エンジンはボンネット片側に1基のみ搭載し、反対側にラジエターを備える。キャブの外形が丸屋根から台形屋根に変わって間もない頃のモデルである。

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2018年10月現在、戸畑地区や八幡地区の機関車同様、オレンジ色、クリーム色、青色、黄色の4色に塗り分けられている。ボンネットを側面からみると、ラジエーターが車端部に寄っており、同じ日立製45トン1エンジン機であるD506とは形態が異なっている。これは、ラジエーターのファンを回転するための動力をエンジンから伝達する方式が異なっているためである。D503はエンジンの回転軸とファンの回転軸の向きが平行で、継手・Vベルトによって動力伝達する都合上、ファンがラジエーターのエンジン寄り(キャブ寄り)に、放熱器素(フィン)部分が車端寄りに配置されている。これに対してD506は油圧駆動(オイルモーター)であるため、ラジエーターは設置位置を問わない。ファンの回転軸は台枠に対して垂直で、DE10形ディーゼル機関車などと同様にボンネット天井部に放熱のための円形の開口部がある。

日立の産業用DLのラジエーターへの動力伝達方式は、1960年代にはオイルモーター式が標準であったが、これはそれまでの継手・Vベルト式(機械式)の場合、エンジン回転中に常時ファンが回転し続ける仕様であり、冷却温度の制御がし難くエネルギー損失も大きいので、それを改善するための工夫でもあった。しかし1970年代後半頃からは、技術的にいわば先祖返りする形で再び機械式に設計変更されたタイプも登場している。小倉の場合、D506が前者、D503が後者のタイプである。

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2015年12月の姿がこちら。この頃はまだ台枠に手すりが設けられておらず、ボディも住友金属物流塗装であった。竣工時の諸元は以下のとおりである。

  • エンジン : DMF31SB(500PS/1500RPM)
  • 液体変速機: ニイガタCBF138
  • 製造年  : 1975年
  • 製造者  : 日立製作所
  • 製造番号 : 2062701

液体変速機のCBF138は、DMF31系エンジンと組み合わせて使用されるDB138系の仲間。

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2018年12月18日 (火)

【くろがね線を読み解く】第279回 ■小倉地区の機関車D308

 Y製鐵所小倉地区の機関車の中から、今回はD308を紹介する。

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D308は、1975年10月に日立製作所によって製作された2軸ボギーの機関車で、前後ボンネット内にエンジンを各1基搭載する。以前紹介したD306と同時製作の機関車で、製造番号は2061803。性能的なことはリンク先のD306の記事を参照のこと。

特徴的なのは、上の写真を撮影した2017年6月時点で、まだエスケイケイ物流時代の塗装のままであることだ。エスケイケイ物流は、住友金属小倉の構内・構外物流を担当していた会社で、2001年10月に住金物流、鹿島運輸などと合併して住友金属物流が誕生した(2018年現在、日鐵物流と住友金属物流が合併して日鉄住金物流になり、小倉地区の担当子会社は日鉄住金物流八幡になっている)。

汚れているが、本来は明るいクリーム色に紫色の綺麗なデザインであった。ボンネット側面の「無線車」のロゴも懐かしい。近年Y製鐵所と同じような塗装に変更された機関車が増えている小倉地区だが、このエスケイケイ物流塗装も1両くらいは残ってほしいものである。

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2018年6月11日 (月)

★C社四日市製油所のスイッチャー★里帰りしたNo.9

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■製油所内の側線に佇むNo.9  2017年11月

2013年3月をもって廃止された、紀勢本線鵜殿駅連絡の紀州製紙(現 北越紀州製紙)専用側線の入換用スイッチャーNo.9。2018年5月現在、かつての配置先である四日市の石油元売メーカーC社四日市製油所に留置されています。

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動く様子はいまのところありませんが、色を塗り替えているので、使うつもりはあるのかもしれません。この機関車、上写真の2-4位側キャブ側面にある銘板には1975年製造、製造番号2061201の陰刻があるのですが、逆側1-3位側の銘板は1974年製造、製造番号13273になっているという、曰くつきのスイッチャーです。

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■紀州製紙専用側線で入換中のNo.9   2007年12月

鵜殿の紀州製紙専用側線では、日に何度か入換があったので様々な角度から撮ることができました。

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1-3位側のボンネット先端台枠下には、スパークアレスタ(火の粉除去装置)が設置され、その直上に煙突が伸びています。紀州製紙紀州工場は紙を製造する工場ですので引火性のある気体や液体を扱う拠点ではありませんが、新製配置先が日通(C社四日市製油所向け)であるため、スパークアレスタ付きで竣工したものと思われます。

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このように、1-3位側の銘板は同じC社四日市製油所No.8の銘板を付けています。

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No.8もNo.9も防爆仕様で、かつエンジンはカミンズ社製NH-220BI(212ps/2,100rpm)、ボンネット妻面が平面タイプという点も共通です。No.9でありながら同型機のNo.8の銘板を付けているのには何か理由があるのかもしれません。余談ですが、エンジンの馬力が212psという中途半端な値になっているのは、製造元のカミンズ社が米国のメーカーで、馬力を英馬力(HP)を基準に設定しているためです。210HP(英馬力)≒212PS(仏馬力)というわけです。

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端梁を見ると、キャブ側妻面のみBP管だけでなくMR管の引き通しもあるので、重連総括制御が可能であったと思われます。

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再起する日を待ち望んでいます。

■No.8とNo.9の動静について

岩堀春夫著「鉄道番外録」シリーズや、沖田祐作著「機関車表 フルコンプリート版」によると、本記事で紹介しているスイッチャーNo.9は安中の東邦亜鉛専用側線で使用されていたように書かれていますがこれは誤りで、安中に転出していたのはNo.8の方です。No.8とNo.9は同型機ではありますが、速星や安中に転出していたNo.8はラジエーターカバーの形状がNo.9とは異なっており、またNo.9は端梁の解放テコの長さが左右非対称である(2-4位側のみ長さが短い)ので、容易に識別ができます。No.9の1-3位側の銘板がいつからかNo.8のものになっているので混乱に拍車をかけていると思いますが、スイッチャーの識別には、銘板の製造番号や文献情報の前にまず実機の形態をきちんと観察することが肝要です。

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2018年4月 5日 (木)

【くろがね線を読み解く】第266回 ■小倉地区D506新塗装化&エンジン換装

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 Y製鐵所小倉地区の構内鉄道用ディーゼル機関車は、Y製鐵所標準塗装へ変更されつつある。2018年3月には、エンジン換装のうえ標準塗装化されているD506を見ることができた。ちょうど桜の時期に初めて訪問することができ、感無量である。

前位側ボンネット上に棺のような物が載っているのは戸畑地区のエンジン換装機(D612、D443)と同じである。本来の標準塗装であれば、オレンジ色がボンネット上部まで廻り込んでいるのだが、小倉地区の標準塗装(もどき)は、なぜかキャブの上半分だけオレンジで下はボンネット含めてクリーム色である。前回D301の記事でも言及したのだが、もう少しオレンジの面積を大きくした方が見栄えが良いのではないかと思う。

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こちらは2015年12月の姿。上写真とは逆の非公式側である。

D506は、住友金属小倉へ新製配置された機関車ではなく、かつて平成筑豊鉄道金田駅と三井鉱山セメント田川工場を連絡していた三井鉱山専用鉄道で使用されていたディーゼル機関車のNo.3とされている。2004年にセメントの発送が無くなったため、用途不要になり、小倉へ譲渡されたものと思われる。同専用鉄道には同じ日立製の丸屋根の機関車としてはNo.2もあり、自重も性能も同じなので、正体がどちらなのか迷うところである。もしNo.3ならば、竣工時のディテールは以下の通りである。

  • 製造者 : 日立製作所
  • 製造年月: 1969年9月
  • 製造番号: 13079
  • 自  重 : 50t
  • エンジン : 新潟DMF31SB(500ps/1500rpm)×1基
  • 液体変速機:新潟コンバータDB138

換装されたエンジンは、キャタピラー社製C15ACERTかコマツ製SA6DXXXあたりを積んでいるのではないかと思われるが、詳細は不明である。

小倉地区の高炉は2020年をもって火を落とすことがすでに決まっているが、エンジンを換装したということは、D506は高炉休止後も当面使い続けるのではないかと思われる。ただし活躍の場が小倉とは限らない。戸畑地区や八幡地区も軌間は同じ1,067mmであるため、転用の可能性も考えられる。もしあるとしても当分先だとは思うが。

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2018年3月22日 (木)

★常陸多賀★H社専用鉄道の大物車引き込み

 2017年7月31日、常陸多賀駅連絡の電機メーカーH社専用鉄道のスイッチャーが動くので訪問してきました。前回2012年9月3日には、変圧器を積載したシキ車の発送入換を撮影していますが、今回はとある理由から荷の無い空のシキ車の到着入換を見てみたかったのです。

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7月29日、宇都宮貨物ターミナルに留置してあったシキ800形801が川崎貨物へと回送されるため、新鶴見信へと向かいました。最後尾にヨ8000形8629が連結されていました。牽引機はEF65形2057号機でした。

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川崎貨物から常陸多賀までの回送は、7月30日~31日の2日がかりとなりました。常陸多賀の側線は常磐線の上り線にしか接続していないため、下り列車は直接入線することができません。そこで、更に北にある泉まで一旦送り込んでから、翌日に折り返して常陸多賀まで上ってきます。単純に折り返すだけなら、常陸多賀駅の一つ北の日立駅でも可能なのですが、日立折り返しとはならずその先の泉まで行きます。理由は、推測ですが日立駅にJR貨物の運転士が夜を明かすための設備が無いためと思われます。泉駅なら定期貨物列車の福島臨海鉄道への継送駅なので問題ないですね。信号設備上は日立駅でも折り返しはできるのですが、日立駅に機関車を貨車を置いたまま乗務員だけわざわざ旅客列車に便乗させて泉まで送り込むより、機関車+貨車ごと泉まで回送した方がスマートです。

回送1日目の川崎貨物-泉はEH500形61号機の牽引でした。2日目の泉-常陸多賀はDE10形の牽引となります。2日目にDE10に変わるのは、シキ車を入線させるための側線の一部が非電化だからです。

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7月31日、宿泊したホテルのレンタサイクルを借りて朝イチでH社専用鉄道の工場門へと向かいましたが、8:00の段階ではまだ動きはありませんでした。9:30頃にエンジンがかかり始め、9:45になると構内の線路上で機関車のみで試走を始めました。9:50になると門扉が開きました。

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日立35トンBBの試運転がしばらく続きます。駅に出てくる際は手前にシキ車が連結されているか、連結されていなくても入換作業員が便乗しているため、車両のみを綺麗に撮ることはできません。したがってこの試運転も貴重な機会となります。

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10:44頃になると、駅に向かってスイッチャーが出場してきました。

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スイッチャーの駅出場。前に3名、後ろに2名乗っています。前の一人はビデオカメラで前方を撮影しています。

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常陸多賀の駅名表示と絡めて後追い。この後自転車で神社へダッシュします。

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すると自転車の方が早いので追い越して先回りできました。この門扉の前で、シキ車が到着するのをしばらく待つのがいつものパターンです。

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JR常磐線の上り本線に到着したシキ車が、一旦上野寄りに引き上げた後、スイッチバックして側線へと戻ってきました。牽引機は新鶴見機関区のDE10 1622でした。

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そしてスイッチャーが門扉から外に出て駅構内へ入ります。実は、今回あえて空車引き込みを狙った最大の理由がこれなのです。シキ車の発送の際は、スイッチャーは駅構内には入らないのですが、空車受け取りの場合のみ、この位置まで出てくるのです。以前の記事でシキ車の発送時の入換を紹介しているので、比べてみてください。

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また自転車で元の場所へ戻り、牽引シーンを。

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急なS字カーブでカントが付いているので、かっこイイですね。

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低速なのでたくさん撮れます。

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スイッチャー+ヨ+シキの後追い。奥まで行くとすぐにスイッチバックして右手の庫に入るのかと思いきや、そのまま最北端まで進んだあとスイッチバックして工場の中の方へ行ってしまいました。右手の庫にシキ車が入るのは変圧器を積んで発送待ちのシキ車を留置するときだけのようです。たしかにすぐに積むならわざわざ庫に入れる必要がありませんね。

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8月4日に常陸多賀から発送された東北電力向け110t変圧器(貨物列車の着駅は古川)は、8月6日日曜日早朝に郡山貨物ターミナルに到着する予定でしたので、前夜に安積永盛に泊まり、翌朝にブログ相互リンク先「眠れないマクラギを数えて」のUTXCさんと一緒に沿線撮り。本来は前日5日にも首都圏で走行を撮れたのですが、その日は新日鐵住金君津製鉄所の見学日でしたのでそちらを優先しました。君津から安積永盛までは青春18きっぷを用いて移動コストを削減できたのは良かったです。UTXC様、安積永盛駅までクルマで送っていただきありがとうございました。

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2018年1月21日 (日)

【くろがね線を読み解く】第263回 ■小倉地区ニチユ25t機の送り込み回送

 2017年某月某日、小倉駅前と訪れると、興味深いものが見つかった。

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小倉地区で機関車整備を行っている工場の手前の留置線が見え、3両の機関車が留置されていた。すべて、車体の上から順にオレンジ、クリーム、青、黄色の4色で構成されたY製鐵所標準塗装に変更されている。左から順に、D108、D107、右端はナンバーが見えないがおそらく45t機のD503と思われる。

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Y製鐵所小倉地区のD107は以前正面からの写真を紹介しているが、今回は側面から見ることができた。色が変更された以外は、特に変わったところは見受けられない。

本機関車については、2017年12月に発売された岡本憲之編・著『ニチユ機関車図鑑』に写真と図面が掲載されている。大脇崇司氏の執筆担当範囲である内燃機関車編のP163によると、ニチユ(日本輸送機)からはD103~107、D201~203の計7両のほぼ同じスタイル・寸法の機関車が納入されたとのことである。2017年現在では、D103、106、107、201、202が現役稼働中で、D203が戸畑地区に転じている。D203は、私自身2014年の起業祭で工場見学バスの車窓から目撃しており、戸畑の機関車整備工場の西側の屋外に留置されていることを確認済みである。その時はクリーム色と紫色のツートンカラー(いわゆる住友金属物流標準塗装)であったが、2017年の起業祭の日は戸畑地区の製鋼工場付近に留置されており、車体色も上写真と同じY製鐵所標準塗装に変更されていた。以下に諸元を記す。

  • 名  称 : 25tディーゼル機関車
  • 形  式 : DL25-HC-1067
  • 自  重 : 25t
  • 全  長 : 7,000mm
  • 全  幅 : 2,580mm(手摺等突起物を含む、後付けの簡易運転台は含まず)
  • 全  高 : 3,370mm(標準装備の旋回灯を含む、後付けのアンテナは含まず)
  • 軌  間 : 1,067mm
  • 車輪経 : 860mm
  • エンジン: 新潟鐵工所DMH17C(竣工時。のちに新潟原動機DMF13Sに換装)
  • 液体変速機:新潟コンバーターDB115
  • 最終動力伝達方式:ロッド駆動
  • 制動装置: 単独空気ブレーキ、手ブレーキ

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別の日に見ると、機関車留置場所に姿が見えなかったが、しばらくすると右手奥からD307(汚れて茶色になった2軸ボギーの機関車)が、ニチユ製25t機とサイドポール付の長物車を牽引してきて、スイッチバックし、推進で岸壁の方へ向かっていくのが見えた。

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D307の運転士は、先頭の貨車の先頭に乗り、D307をリモコン制御している。ニチユ製25t機は、その屋根上突起物の配置からD107とは異なる車両であることが分かる。運転士は乗っていないため、重連ではなく無動力回送と思われる。

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岸壁から先は右手に進み、高炉や製鋼工場のある方へ向かっていった。前後の車輪を連結するロッドがかろうじて見える。いまどき2軸の機関車が溶銑輸送に使用されているとは思えないので、スラグ輸送に使用されていると思われる。回送の目的はよく分からない。

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左に連結されているD307の推進で、右手に進んでいった。この日は雨が降ったり止んだりで機関車がクリアに見えなかったが、この場所を通過してくれれば2軸機なら車両全体が障害物無しで足元まで見える。今後、天気が良く光線の強い日に再訪したいところである。

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2018年1月18日 (木)

★台湾製糖★橋頭糖廠の保存スイッチャー(日立編)

前回の続きです。2016年のゴールデンウィーク、台湾到着初日の午前中は高雄の保存車を見学し、美麗島の交差点近くにある中国料理屋で昼食後、午後はMRTに乗車して橋頭糖廠駅を目指しました。

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この日は日曜日で貨物列車の運行や専用線の入換は期待できませんので、保存車巡りに決めたわけです。

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駅前には、「戀戀五分車」というサトウキビ輸送用貨車を改造した車両が留置されていました。五分車の五分とは「五分五分」と同じ半分という意味で、何の半分かというと国際標準軌である1,435mmの半分、つまり軌間762mmのナローゲージのことですね。看板に「有機・樂活・美食・咖啡」とあるので喫茶店なのでしょうか。営業している雰囲気ではありませんが。

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5分ほど歩くと、台湾糖業博物館の正面入口に到着。これは台湾製糖有限公司の橋頭糖廠跡地にオープンした博物館で、廃業後の工場内を見学することができます。産業観光というやつです。

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入って左手に進むと、日本でも見慣れたデザインのスイッチャーが貨車を連結して佇んでいました。そう、台湾製糖には日立製作所が合計61両の産業用ディーゼル機関車を納入しており、そのうちの2両がこの博物館に静態保存されているのです。

●日立HR-16C液体式ディーゼル機関車

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まずはこちらの機関車。L型エンドキャブの3軸ロッド駆動で、カウンターウェイトが車輪の外側に付いています。連結器はピンリンク式です。軌間762mm用とはいえ車体がだいぶ大きく感じられます。日本国内にも、ナローゲージ時代の小坂鉄道や茨城県の日立鉱山専用鉄道、三重県の近鉄(現三岐鉄道)北勢線、岡山県の下津井電鉄、愛媛県の別子銅山専用鉄道など、軌間762mmながら車体の大きな鉄道がいくつかありましたが、それらを想起させます。ナンバープレートが残っていて849と読み取れました。

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後位側から。自重は16tですが、ナローゲージ鉄道としては比較的長距離を高速で運転するため、軸受は円錐コロ軸受を採用しています。運転台は横向きに配置されていますが、ハンドル・レバー類が左右両側に対称に配置されており、左右どちら側からでも運転できるようになっていました。

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公式側から。ラジエーターも自重16トンクラスの機関車としては大型です。

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渡辺台帳によると、日立から台湾製糖へ納入されたHR-16Cは、1967年に45両、1969年に9両が計上されています。1967年の45両は、製造番号だけでなくNo.801~845と車番まで記載されているのですが、1969年のものは車番未掲載となっています。そこで、物証を元に特定してみることにします。

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こちらがNo.849の銘板です。日立の海外向け産業用ディーゼル機関車の銘板は楕円形で、国内向けの長方形とは異なります。製造番号は「HITACHI」と製造年「1969」の間にある陰刻を読み取る必要があるのですが、この車両は保存状態が良く、13090とすんなり読めました。渡辺台帳によれば1969年に納入された9両は、製番13052~13054の3両と13090~13095の6両で、この車両No.849が13090ですから、後続がNo.850~854、前はNo.846~848と特定することができます。まとめると、HR-16Cのリストは以下の通りとなります。

ロット 製造年 製造両数 製造番号 車番
1967 40 12874~12913 801~840
1967 12928~12932 841~845
1969 13052~13054 846~848
1969 13090~13095 849~854

※ロット3については、実際に実車の銘板に刻印されているのは1968年との説がありますが、
 真偽のほどは定かではありません。物証が無いと俄かには信じがたいですね。

日立評論第50巻第3号82ページによると、HR-16Cの諸元は、以下の通りです。

  • 名  称 : 日立HR-16C形液体式ディーゼル機関車
  • 形  式 : 3軸ロッド駆動エンドキャブ形
  • 自  重 : 16t
  • 軌  間 : 762mm
  • 全  長 : 5,400mm
  • 全  幅 : 2,200mm
  • 全  高 : 3,300mm
  • 軸  距 : 2,100mm
  • 車輪経 :  770mm
  • 連結器高さ:485mm
  • 最大引張力:5,333kg
  • 最高速度: 33.5km/h
  • エンジン : DH-24L (220PS/1800rpm)
  • 液体変速機:CB115-1
  • 空気圧縮機:C-400
  • 制御装置: 機械、電磁空気式非重連
  • ブレーキ装置:空気式ブレーキおよび手ブレーキ
  • 連結器 : ピンリンク式

資料には記載されていませんが、エンジンDH-24Lはその型式から三菱製のエンジンと判断できます。車輪径こそ、軌間1,067mm向けのディーゼル機関車のそれ(860mmまたは910mm)より一回り小さいですが、動力系は自重25~30tクラスの機関車とほぼ同じ出力のエンジンにDF115系トルクコンバーターの組み合わせを採用し、最高速度30km/h以上を担保しています。

●日立HR-30C液体式ディーゼル機関車

次に、機関区のはずれにポツンと留置されていた軌間1,067mmの機関車も見学。

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台鉄と糖廠の貨車輸送に使用されていた、言わば台鉄に連絡する台湾製糖専用側線の機関車です。こちらも3軸ロッド駆動のL型機で、アウトサイドフレームです。やはり車体の大きさが目を惹きます。ラジエーターがさらに巨大化しているため、全長もより長く感じられますね。軸受も同じくコロ軸受です。

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ご覧の通り、連結器は台鉄で採用されている柴田式自動連結器で、貫通ブレーキ用のホースも装備しています。いよいよ専用線のスイッチャーらしい姿ですね。ちょっと残念なのは、周囲の植物が邪魔であまり綺麗な角度からは撮れないことでしょうか。

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こちらもNo.13のプレートが残されていました。渡辺台帳によると、日立から台湾糖業(旧台湾製糖)へ納入されたHR-30Cは、1969年に4両、1981年に3両が計上されています。

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こちらがNo.13の銘板です。この車両も製造番号13082と読めました。渡辺台帳によれば1969年に納入された4両は、製番13080~13083ですので、ロット1は特定できます。またロット2については、製造番号が製作指示番号+追番方式に改められた後の製造となるため、製作指示番号20751をベースにシーケンシャルナンバー2桁が後ろに付くことになります。まとめると、HR-30Cのリストは以下の通りとなります。

ロット 製造年 製造両数 製造番号 車番
1969 13080~13083 11~14
1981 2075101~2075103 15~17

※ロット2については、日本国内向けであれば屋根形状が丸屋根から台形屋根に
 設計変更された後の製造となりますが、現物の屋根形状がどうなっていたのか興味深いです。

日立評論VOL.52 NO.8 90ページによると、HR-30Cの諸元は、以下の通りです。

  • 名  称 : 日立HR-30C形液体式ディーゼル機関車
  • 形  式 : 後部運転室、ロッド駆動
  • 自  重 : 運転整備重量30t/空車28.5t
  • 軌  間 : 1,067mm
  • 全  長 : 7,500mm
  • 全  幅 : 2,600mm
  • 全  高 : 3,500mm
  • 軸  距 : 3,200mm
  • 車輪経 :  910mm
  • 最大引張力:9,000kg
  • 最高速度: 32.9km/h
  • エンジン : 三菱12DH20TL (515PS/1800rpm)
  • 液体変速機:NIIGATA-TWINDISC CBF138
  • 制御装置: 機械式(エンジン制御)、電磁空気式(逆転器・トルクコンバータ)
  • ブレーキ装置:27LA自動貫通ブレーキ、手ブレーキ
  • 連結器 : 柴田式自動連結器

車輪径は、日本国内向けの産業用ディーゼル機関車や国鉄・私鉄・臨海鉄道向け液体式ディーゼル機関車の標準である860mmより大きい910mmです。これは、旧型国電や0系新幹線と同じ値です。なぜ標準品を採用しなかったのか興味深いですね。エンジンはこれまた三菱製で、762mm向けのHR-16Cのものと部品レベルでの互換性があるとのこと。動力系に採用された、500PSクラスのエンジンとDB138系トルクコンバーターの組み合わせは、45~60トンクラスの大型産業用機関車と同じものです。この機関車は台鉄の駅と糖廠の間で貨車連絡に使用されていたものですので、牽引力重視の設計なのかもしれません。

ところで、液体変速機のメーカー名が新潟ではなく新潟-ツインディスクになっていますが、これは輸出品だからでしょうね。CBF138(DB138およびその後継品を含む)は、元々新潟鉄工所(→新潟コンバータ)が米国ツインディスク社からライセンス供与を受けて製造しているものです。日本国内ではNIIGATAで通りますが、第三国で販売する製品にはTWIN DISC社の名前を入れないといけないのでしょう。現在でも、日立ニコトランスミッション(旧新潟コンバータ)社製のDF115・DB138系の液体変速機の銘板には、「LICENSED BY TWIN DISC,INC.USA」の表記があります。

<つづく>

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