カテゴリー「欧州紀行」の25件の記事

2020年1月13日 (月)

◆ベルギー国鉄◆都市近郊用電車

 ベルギー国鉄はオランダ同様にむかしから都市近郊では電車列車が多いのが特徴です。

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ラ・ルヴィエール中央駅で、ラ・ルヴィエール南駅方面に向かう列車を待っていたら、反対側のホームにAM74形電車が来ました。ベルギー国内の直流3kV専用の2両1ユニットの電車です。むかしの日本の半流型の旧型電車にも似ていて親近感がわきます。No.756。

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ラ・ルヴィエール南駅では、同じ型のNo.745の発車を後追い。こちらは片側にしか窓がないタイプでした。いずれもヨーロッパではあまり見かけない、自動連結器装備の電車です。米国由来の技術で設計されているのでしょうか。相当古そうですね。

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同じ駅で奥の線路に今度はAM96型電車が来ました。こちらはベルギー国内直流3kVと隣国フランスの交流25kV 50Hzの2電源に対応した3両1ユニットの電車です。新しいタイプですが、2004年冬にベルギー南部を旅行した際に既にこのタイプは運行していました。妻面には密着連結器のみでバッファーが無く、幌がバッファーの役割を担っているようです。No.466。

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いよいよ自分の乗り込むリール・フランドル行きの電車がやってきました。AM96形No.465。乗車後、国境に近づくあたりから交直デッドセクションがどこにあるのか注意深く観察していました。列車は途中までコルトレイク方面へ向かう路線を走行し、トゥルネから西方向へ分岐する支線に入り、国境を越えてフランスのリール・フランドルへ向かうルートを走行しました。ふつうに考えるとデッドセクションは支線内にありそうな気もしますが、実際にはトゥルネの手前を走行中に車内のエアコンの電源が落ち、2~3分後に電源が入りましたので、おそらくそこがセクションと思われます。さすがに現代の電車はセクション通過中に車内照明が切れるなどということはありませんが、JR常磐線のE531系と同様に、大電力を消費するため蓄電池給電が不可能であるエアコンは切れますので、注意深く音を聞いていればわかりますね。でもそうなると、同じようにフランスからの線路が合流してくるコルトレイクのあたりのどこかにも交直セクションがありそうですが、よく分かりません。

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リール・フランドルでは、TGVの入線する国際列車用のホームに到着。他のホームも含めてすべて頭端式のホームですが、何が違うかというと、国際列車用のホームのみガラス製のゲートと自動改札機が設けられていました。フランスとベルギーは同じEU加盟国同士でありシェンゲン協定を結んでいるため、国境での査証チェックは不要なはずですが、そこは歴史です。かつてベルギー国内の高速新線が未整備だった時代は、フランス・パリやベルギー・ブリュッセルと英国ロンドンを結ぶユーロスターがこの駅経由で運行されていました。英国はシェンゲン協定を結んでいませんので、国境での査証チェックが必要で、パリ北駅同様にゲートが必要になるわけです。もちろん、今回2019年訪問時点では、ユーロスターは全列車が高速新線のリール・ヨーロッパ駅を経由してパリやブリュッセルへ向かいますので、この駅を経由することはありません。このためゲートは存置されているものの機能は無効化され無人状態で、何のチェックもなく駅外に出られました。

次回は、ダンケルクを目指します(世界の車窓風に)

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2019年12月26日 (木)

◆ベルギー◆NLMK社ラ・ルヴィエール製鉄所の機関車

 2019年5月、ルクセンブルクからベルギーへ移動した翌朝、ICに乗って真っ先に向かったのは、中部の都市 La Louvière(ラ・ルヴィエール)。ベルギーは南部(ワロン地方)がフランス語圏、北部(フランドル地方|フランデレン地方)がオランダ語圏で、ラ・ルヴィエールは名前の通りフランス語圏にある街です。玄関駅ラ・ルヴィエール中央駅から北へ20分ほど歩くと、Gare de La Louvière-Industrielle(ラ・ルヴィエール工場駅、略してGLI駅)があり、道路沿いのグリーンベルトからフェンス越しですが貨物駅を眺めることができます。この駅の北側にはラ・ルヴィエール製鉄所があり、貨物駅自体には荷役設備は無く、GLI駅は製鉄所に出入りする貨車専用の貨物駅です。

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朝9時になるとベルのような警告音が鳴り始め、工場門から貨物駅へ貨車が出てきました。先頭にリモコンを持った運転士が乗っており、最後部から推進している機関車を遠隔制御しています。どんな機関車が押しているのでしょうか。

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ラ・ルヴィエール製鉄所は、1853年に設立された一貫製鉄所で、かつては高炉を擁していました。しかし生産量の減少に伴い1998年にスイスDuferco社に買収されると、2000年代前半に段階的に高炉を廃止しました。2006年、ロシア有数の鉄鋼メーカーNlmkrus(Novolipetski metallourguitcheski kombinat=頭文字を取ってNLMK社、いわゆるノヴォリペツク製鉄) との合弁会社となるも、2011年でDuferco社操業部門は廃止され、以降はNLMK社の担っていた圧延部門のみ操業継続中のいわゆる単圧メーカーです。高炉のある他所の製鉄所からスラブやブルームなどの半製品を仕入れて圧延し、熱延鋼板・冷延鋼板などに加工して需要家へと発送しています。主な需要家は自動車会社や機械製造会社、建設会社などです。2019年現在ではNLMK社の欧州拠点として機能しています。

物流はイン・アウト共にトラックのほかに鉄道貨車と船を用いているようです(製鉄所は圧延に大量の水を使うため海沿いか川沿いに立地しているのがほとんどで、欧州では河川の水運もよく使われています)。参考資料によると、圧延する元になる半製品の調達先は、NLMK社本社所在地である、ロシア。高炉のあるノヴォリペツク製鉄所とのこと。といっても写真の貨車がすべてロシアから(国境で台車交換して)はるばる長距離輸送してきたものであるかどうかは不明です。ロシア国内の港で船積してベルギー最大の港アントワープまで輸送し、陸揚げして貨車に積み当駅まで国内のみの短距離鉄道輸送をしている可能性も否定はできませんが、ノヴォリペツク製鉄所が内陸部にあり港までの輸送に時間を要すること、冬期に港が凍るリスク、そしてロシア国内の鉄道運賃が他国に比べ低く抑えられている点を考えると、全区間鉄道輸送も十分アリかもしれません。

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最後尾から推進していた機関車がこちら。凸型2軸ボギーのディーゼル機関車です。イコライザー台車のような古めかしい台車を履いていますね。停車中にキャブの下を望遠で見てみましたが、凸型センターキャブの液体式DLであれば台枠下にある筈の推進軸が見えないため、電気式ディーゼル機関車の可能性があると思います。欧州の産業用機関車関係の情報が掲載された掲示板をいくつか検索してみましたが、むかしはラ・ルビエール工場駅の北東側(現在は従業員用の駐車場で立入禁止の看板有)から中に入れたようで、機関車停車中に台車の内側を覗きこんだらモーターが各台車に2個ずつ見えたとの記述がありましたので、多分そうなのでしょう。

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製鉄所の機関車らしく、オートカプラー(自動解放装置)を備えています。EU各国の最近のDLは、設計段階から車両入換の遠隔化・自動化を考慮しているものも少なくなく、発注時のオプションで有り無しを選択できるパターンが多いです。もっともこの機関車は古そうなので、後付けの改造かもしれませんが。

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メーカーはよく分かりませんが、掲示板の情報によればベルギー国鉄の機関車のボディや台車を製造しているBeaume et Marpent社製の可能性があるとのことです。戦後GHQが日本に持ち込み残していったGE(ジェネラル・エレクトリック)社製の電気式ディーゼル機関車 国鉄DD12形や八幡製鉄D402にも似たスタイルで、GE44という産業用機関車のシリーズにそっくりです(イコライザー台車の形も含め)。

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入換が終わると製鉄所内に戻っていきましたが、奥にはナンバー違いの同型も居ました。貨物駅に出場可能な機関車は、No.81、82、83のほか2両いるようです。80番台はそれぞれ帯色が異なり、81は青、82は緑、83は赤で遠くからでも識別が可能です。

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この日の朝は工場門から外には出てきませんでしたが、中では黄色のセミセンターキャブの2軸ボギーDLが入換していました。フランスやルクセンブルクのアルセロール・ミッタル系列の製鉄所で見かける機関車によく似ており、同じメーカーの別シリーズかもしれません。もし次回訪問する機会があれば、この機関車が駅に出てくるところも見てみたいものです。この日は、午後から国境を越えてフランス入りし別の製鉄所も見物する予定でしたので、1時間半ほどで現地を後にしました。

次回は、リール・フランドルを目指します(世界の車窓風に)。

<豆知識>
・ラ・ルヴィエール・インダストリー駅の語尾が、industrielではなくindustirelleになるのは、Louvièreが女性名詞であるためです(冠詞がLa)。
・ノヴォリペツクのNovoとは、フランス語のNouveau(ヌーヴォー)、イタリア語のNuovo(ヌオヴォ)と語源は同じで、新しいという意味です。ノヴォリペツク製鉄所は、リペツク(Lipetsk)という街にあります。

  • 参考 「ロシアCISの鉄鋼産業」日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部欧州ロシアCIS課、2013年7月。

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2019年12月 2日 (月)

◆ルクセンブルク国鉄の電車◆中央駅での新旧顔合わせ(2019)

 2019年のゴールデンウィーク、ヨーロッパ到着2日目は午後からルクセンブルクの保存鉄道Le Train 1900(ル・トラン・ミルヌフサン)を訪ねました。世界最大の鉄鋼メーカー「アルセロール・ミッタル」社発祥の地、ルクセンブルク。同社のルーツの鉄鉱石鉱山跡が観光地化され、上部軌道が鉱山博物館、下部軌道がボランティア運営の観光鉄道Le Train 1900として、いずれも鉄道車両の動態保存活動が行われているのです。毎年メーデーの5月1日が年初のオープニングデーです。

2019年現在Arcelor Mittalの本社はルクセンブルクにありますが、これはMittal Steel社と合併する前のArcelor社が、ルクセンブルクのARBED社、スペインのACERALIA社、フランスのUSINOR社の3社合併により誕生したためです。ARCELORの名は、3社の文字から数文字ずつ取ってつくった造語です(もちろん本社所在地の選定には税金対策も重要ですが)。ルクセンブルクにあるのは元祖ARBED社の鉄鉱石鉱山跡です。ARBEDの名は、古いレールに精通している方には知られているかもしれませんが、ARBED社の製鉄所は棒鋼・形鋼の生産を得意としており、現在ではルクセンブルク国内に高炉はありませんが鉄道用レールの製造拠点(単圧メーカー)があります。

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イベントの帰りに、ルクセンブルク中央駅へ戻ってくると、CFL(Société Nationale des Chemins de Fer Luxembourgeois=ルクセンブルク国鉄)の汎用電車新旧並びが見られました。ルクセンブルク国鉄の形式は、1000番台以下が内燃車(ディーゼル機関車やディーゼルカー)、2000番台が電車、3000番台以上が電気機関車です。ルクセンブルク国鉄のかなりの区間はフランスの影響を受けて交流25kV 50Hzで電化されており、右の2000形は交流25kV専用の電車です。フランスを旅行された方には馴染みの顔かと思いますが、フランス国鉄の交流25kV専用車Z11500形の同型車です。左の新型2300形は、交流25kVに加え、隣国ドイツの交流15kV 16 2/3Hzも走行可能な2電源対応の電車で、国境を越えドイツ・トリアーまで直通できます。

 

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ルクセンブルク中央駅には、南側からフランス国鉄の電車も直通してきます。Z24500形と思われます。

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2019年11月30日 (土)

◆ベルギー国鉄◆Antwerpen-Luchtbal駅での列車観察(2019)

 2019年のゴールデンウィークにドイツ・ルクセンブルク・フランス・ベルギー・オランダ各国を巡った際に泊まったホテルの最寄駅Antwerpen-Luchtbalでみかけた列車を紹介します。

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ベルギー北部の港町アントワープにあるアントワープ・ルフトバル駅は、ベルギー・オランダ間の高速新線建設に伴い在来線も合わせて移設する形で2006年に現在地に移転・開設されました。フランスやドイツ国内の高速新線とは異なり、ベルギーからオランダへ直通する高速鉄道専用の列車(ThalysやEurostar)は本数が非常に少ないため、この区間の高速新線は高速列車だけでなく最高速度160km/hの客車列車IC(インターシティ=都市間急行列車)も走行することを前提としています。ブリュッセル(南駅)ーアムステルダム(中央駅)間で運行されているICは、たとえばブレダ駅のような在来線の途中駅に停車するため、高速新線を一旦降りて在来線の駅で客扱いを行い、スイッチバックしてまた高速新線に戻ってくる運用があります。このため、客車の両端に電気機関車を連結したプッシュ・プル方式になっています(現地ではベネルクストレインと呼ばれています)。ベルギー・オランダ間の高速新線はフランス方式の交流25kV 50Hzで電化されていますが、オランダの在来線は直流1.5kV、さらにベルギーの在来線は直流3kVのため、在来線の駅に乗り入れる都合で電気機関車は少なくとも3つの電源方式に対応している必要があります。写真のE186形はドイツの交流15kV 16 2/3Hzも含めた4電源に対応しています。塗装は、客車と同じくオランダ国鉄標準の黄色と青色ですが、機関車リース会社Akiem社の私有機です。

Thalys

次にやってきたのは、タリスPBKA、フランス・パリ北駅からベルギー・ブリュッセル中央駅を経由し、オランダ・アムステルダム中央駅またはドイツ・ケルン中央駅へ直通する高速列車です。この駅を走行するのはすべてアムステルダム発着便です。写真の丸っこいタイプのほか、ドイツを除く3電源のみに対応したTGVレゾ ソックリのPBAもこの駅を通ります。

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三本ある複線のうち一番東側の複線は貨物線で、旅客ホームはありますが列車が止まることはほとんどありません。こちらは先程と同じ186形ですが貨物輸送・リース会社であるRAILPOOL社所属の私有機です。荷はコンテナ、特に化学品を積んだタンクコンテナが多いですね。この列車の行先であるアントワープ港(Antwerpen-Haven)駅の先に続く臨港線の沿線には、BASF社をはじめとする化学会社の生産拠点やストックポイント(専用線発着およびトラック持込みによる)が多いので、そのためでしょう。

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今度は反対側からも。186形のSNCB Cargo(ベルギー国鉄貨物部門)所有機、ベルギー国鉄での形式は29形です。貨物用の186形はすべて、最高速度は140km/hで落成しています。冒頭の旅客用は最高速度160km/hでベルギーでは28形を名乗っています。

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貨車をすべてチェックしましたが、全車両がフランス・パリに本社を置く貨車・タンクコンテナリース会社のERMEWA社の私有貨車でした。積荷はくろがね線の防水フード付き貨車でお馴染みの冷延コイル(亜鉛メッキ鋼板を含む)の可能性が高く、一度に運んでいる量や単一性から、特定需要家向けの特定製品・品目限定の直行輸送列車(いわゆるブロックトレイン)と思われます。アントワープ港には製鉄所は無いためおそらく荷卸しした空車で、またこの列車が南に向かっていることから、製鉄所のあるGENT(ヘント)かフランスのダンケルクあたりに戻る返空列車ではないかと想像します。亜鉛メッキ鋼板は自動車のボディにも使用されるので、納品先は自動車工場ですかね。どうでしょう。

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貨物線を走ってきた、保線車。車体側面にUICコードの標記があるため、車籍のある鉄道車両扱いの可能性が高いですね。ヨーロッパでは結構日中にも保線車が本線を走ってくることがあります。マルティプル・タイタンパ U08-275。

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自分の乗る列車の直前にやってきた、ロンドン発アムステルダム行きユーロスター。ユーロスターとは言ってもドイツのICE3ベースの車両です。オランダ国鉄は、ベルギー・フランス側の高速新線が開業する前から、ドイツ直通のICEを運行しており、ICE3とほぼ同型の編成も所有していましたので、オランダ国内を走行する際にはこちらのスタイルの方がしっくりきますね。

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2019年8月 6日 (火)

◆ザールラントの貨物列車◆ドイツ、フランス、ルクセンブルク2019

 2019年のゴールデンウィークに訪ねたドイツ・ザールラントで見かけた貨物列車をいくつか紹介します。

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まずはフェルクリンゲン駅を通過するBR185.2(185形200番台)の218号機。ボンバルディア社製の副電源対応の電気機関車で、ドイツの交流15kV 16 2/3Hzのほか、フランス東部やルクセンブルクで採用されている交流25kV 50Hzにも対応しています。機関車の後ろに連結されている貨車は、以前別の記事で紹介したものと似たスタイルのコイル輸送用の防水フード付き長物車と、その後方にはスラブ・ブルームなどを輸送するための長物車(サイドポール付)が連結されています。製鉄所の製品・半製品輸送用の貨物列車であることがすぐにわかりますね。

隣国フランスと国境を接するザールラントは、その帰属を巡りドイツ・フランス両国が永年に渡り覇権争いを繰り返してきた土地です。この地域にはかつて多くの炭鉱や製鉄所があり、石炭・鉄鋼資源の利権争いがたびたび火種となっていました。過去の二度の大戦の教訓から、石炭・鉄鋼資源を周辺国で共同管理するための組織「欧州石炭鉄鋼共同体」が1952年7月23日に設立され、1958年に欧州経済共同体へ、1967年にヨーロッパ共同体へと統合を深化させ、1993年11月1日に現在のEU(欧州連合)が発足しました。ヨーロッパにとっての鉄鋼業は、戦争の歴史の一部であり、欧州統合の要でもあるわけです。

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夕方にエンズドルフ駅でディリンゲン方面に行くために旅客列車を待っていると、同じ機関車BR185 218-5が戻ってきました。後ろの貨車はすべて空車ですから、ディリンゲンへ戻る途中でしょうか。

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こちらは駅間移動中にみかけた石炭輸送の返空と思われる列車。牽引するのはスウェーデンのヘクターレイルという貨物輸送会社の機関車で、型式はHCTOR162、元ドイツ鉄道151形電気機関車です。番号が162.005ですから元BR151 133-6ですね。ヘクターレイル所属の中古機関車の面白いところは、1両ずつ愛称が付けられている点です。この5号機は、妻面記号番号の下に「Herzog(ヘルツォック=公爵)」と記されています。

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さあいよいよシンボリックな組み合わせが出てきました。ドイツ鉄道の電車とすれ違う、フランス国鉄の電気機関車です。フランス国鉄は貨物輸送部門所属の機関車を「FRET」として区別し、外観も緑・白・シルバーの塗装で貨物用であることが一目でわかります。FRETの機関車は、型式の10万の位に4を付与しています。

ここで参考までに、フランス国鉄の電気機関車の形式命名規則をまとめましょう。

冒頭に車軸配置 → D形ならBB、F形ならCC

数字4ケタないし1万の位が0 直流1.5kV専用
        1万の位が1 交流25kV 50Hz専用
        1万の位が2

2電源対応
(直流1.5kVと交流25kV 50Hzの交直両用)

        1万の位が3 3電源対応
        1万の位が4 4電源対応

上写真の機関車は437036と記されていますので、FRET所属のBB37000形36号機ということになります。

3電源の内訳は型式毎に異なりますが、代表的なものはBB36000とBB37000ですね。

  • BB36000 →直流1.5kV、3kV、交流25kV 50Hzの3電源対応
  • BB37000 →直流1.5kV、交流25kV 50Hz、交流15kV 16 2/3Hzの3電源対応

というわけで、交流15kV 16 2/3Hzで電化されているドイツやスイスの国境近くで見かけるのは自ずとBB37000ばかりになります。

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不意に逆方向から来たので先頭は撮り損ねましたが、面白い貨車が見られました。ドイツ鉄道の車輌限界は幅3,100mm前後なので、それを超える幅の積荷は日本の常識からすると運べないのですが、そこはヨーロッパ、車輌限界に対して対角線上に傾ければ車輌限界を超える幅の積荷でも輸送できてしまいます。

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このため傾斜機構を備えた貨車がヨーロッパにはたくさんあります。積荷は厚板ですね。自動車のボディにするには厚すぎるので、建材用か造船用でしょうか。

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早朝で写りは悪いですが、隣国ルクセンブルク国鉄の機関車もやってきました。CFL4000の12号機です。ボンバルディア社製の2電源対応機関車で、冒頭で登場したドイツ鉄道185形とほぼ同一性能の姉妹機です。

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貨車はMARSLOGISTICSのコンテナがメインでした。いや、でもよく見るとこれはコンテナでは無いゾ!?

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そう、トレーラーを貨車にそのまま載せているんです。これもヨーロッパの貨物列車の醍醐味ですね。

今回のザールラント訪問の主目的は別のところにあったので、本線を走行する一般の貨物列車はあまり撮れませんでしたが、石灰石輸送用の2軸のホッパー車や、自動連結器しか装備していない鉄鉱石輸送用貨車を一般貨物列車に併結する際に使用する、最高速度120km/hの2軸の控車が現役であることも確認できました。今度じっくり撮ってみたいですね。

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2019年7月 5日 (金)

■ベルギー国鉄■27形電気機関車

 2019年のゴールデンウィークに訪ねたベルギーで見た、ベルギー国鉄の電気機関車を紹介します。

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27形電気機関車は、直流3000Vのみに対応したベルギー国内専用の電気機関車です。主に都市間を連絡するREを牽引・推進しています。くの字型に出っ張った前面形状が特徴で、やや緑がかったライトブルーに黄色の帯を巻いています。これがベルギー国鉄の機関車標準のカラーです。

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先進国の首都を、二階建てなら8両、平屋なら12~14両編成の普通客車列車が5~6分おきにやってくるシーンが展開します。

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と言っても最近では隣国ドイツやフランスと同じように、左のようなEMU(電車)も増えています。ただやはり独仏のような経済大国とは異なり予算が潤沢には無いので、鉄道車両リプレイスのペースも非常に遅く、まだまだ旧型の車両が活躍しています。以上、ブリュッセル北駅にて。

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こちらは、元貨物線のルート上に設けられたラ・ルビエール中央駅に入線するRE。28号機が平屋の客車14両を牽引してきました。中央駅といっても、1.5kmほど北にあるラ・ルビエール・インダストリー駅(製鉄所の専用線が分岐する貨物専用駅)の方が線路の数は圧倒的に多いですね。無論、そこに行くためにこの駅で下車したわけですが。すべて2019年5月2日撮影。

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2019年6月10日 (月)

◆ベルギー◆アントヴェルペンのPCCカー

 2019年のゴールデンウィークは7年ぶりにヨーロッパに行ってきました。ドイツ・フランクフルトを拠点に、ルクセンブルク、ベルギー、フランス、オランダを鉄道で巡る正味7日間の旅です。途中ベルギーではアントワープに3連泊し、鉄道道路併用の可動橋のある臨港線と、ハンプのある操車場(欧州で2番目の規模)を訪ねたのですが、初日の金曜日こそ動いたものの、土日は沈黙。仕方なくプランBとしてトラムを見物することにしました。

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アントワープではまだPCCカーがバリバリ現役です。私の見た範囲では、平日はさすがに通勤客が多いためか、収容力の大きい新型の連接車が主力のようでしたが、土曜日はおよそ1/3が上のPCCカーでした。形式は7000形に区分されているようです。

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後追い。折り返しの末端駅はループになっており、ぐるっと回って進行方向を変えるので、リアに運転台は無く、窓の形状もフロントとは異なります。

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こちらも同じ7000形ですが7007号車は特別塗装でした。ふつうに乗客が乗っていたので只の広告電車なのでしょうか。

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パンタグラフが大きいですねぇ。

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そして路面軌道はすべて舗装されており、路線バスと共用です。停留所も同じなので、モードの違いを意識せずに利用することができます。

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車庫から出庫する新型連接車。ボンバルディア製のフレキシティ2というタイプで愛称はアルバトロス、形式は7300形のようです。

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この写真のは7車体連接なのですが、まったく同じ顔で5車体連接と3車体連接が居るのも確認しました。

■アントワープという地名

日本では、フランダースの犬でお馴染みのアントワープ(Antwerp)という呼称が定着していますがこれは英語名で、フランス語ではアンヴェルス(Anvers)、オランダ語ではアントヴェルペン(Antwerpen)となります。ベルギーの公用語はフランス語、オランダ語、ドイツ語なのですが、アントワープのあるフランドル地方(ベルギーの北半分)はオランダに近いためオランダ語圏で、街中ではほぼオランダ語しか通じません。英語が通じる人でも、地名の英語読みまでは知らない人もいるので、会話の中では地名だけ現地語になったりします。知っておいて損はありません。

■ゲージのはなし

アントワープのトラムのレール幅は、1,000mmです。大陸側のヨーロッパ諸国では、長さの単位は国際標準のMKSA単位系に則りメートルです。このため、英国に直通する貨物輸送を行っているような各国国鉄の鉄道路線を除けば、島国英国のヤード・インチの長さ単位に合わせる必要はなく、軌間1,000mmの鉄軌道に時々出会うことがあります。鉱山鉄道に代表されるようなナローゲージ(Voie Etroite=ヴォワイエ・エトロワット)も、たとえばフランスは軌間700mm、ドイツは軌間750mmなど、いずれもメートル法でキリの良い値が採用されていることも珍しくありません。

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2019年4月22日 (月)

【ドイツの貨物列車】189形電気機関車重連の鉄鉱石輸送5000t列車(Erzbomber)

 2012年のゴールデンウィークにザール地方を訪ねた際、ディリンゲン(ザール)駅で鉄鉱石輸送列車に遭遇しました。ドイツ語では鉱石輸送列車のことをErzzugと呼びます。この列車は、オーストラリア・ブラジル・スウェーデンなどから船で北海まで輸送され、オランダ・ロッテルダム港で陸揚げされた鉄鉱石を、ザール地方のディリンゲンにあるROGESAの製鉄所まで輸送する役割を担っています。もちろん、鉄鉱石は製鉄の原料として使用されます。ROGESA(Roheisengesellshaft Saar GmbH)は、ディリンゲンヒュッテとザールシュタールが持ち株会社の銑鉄生産会社で、操業に携わる社員はおらず、実質的にはディリンゲンヒュッテ・ディリンゲン製鉄所の一部といえます。

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牽引するのは、DBSCHENKER所属のBaureihe189(189形電気機関車)重連です。この機関車は、ドイツ・シーメンス社製のBaureihe152(152形電気機関車)をベースにドイツ周辺各国に直通できるよう4電源(交流15kV 16 2/3Hz、交流25kV 50Hz、直流3kV、直流1.5kV)対応に設計変更したもので、ドイツ国内の交流15kV下では最大出力6,400kWを誇るマンモス機関車です。この列車は、最大で貨車40両、総荷重は5,500tに及びますので、牽引機関車は重連となり、その重量感からErzbomber(鉱石爆弾)の愛称で親しまれています。オランダ国鉄のロッテルダムからドイツ国内まで、国境駅での機関車交換無しで直通運転しており、オランダ国鉄直通のため規程により車両前面の左右端から端まで途切れの無い白帯を配しています。

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貨車は、比重の大きい鉄鉱石を効率よく輸送するため、荷重は1両あたり141tに達し、その重量を支えるため3軸ボギー台車を備えています。この日目撃した列車は36両編成とやや短かめでしたが、それでも5,000t列車ですから十分に迫力がありますね(ちなみに日本国内の最大は1,300t列車です)。この貨車は、3軸ボギー台車以外にも大きな特徴があります。それはAK(自動連結器)を装備している点です。

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車端部を見てみると、日本国内の貨車でおなじみの自動連結器と解放テコが見てとれるいっぽう、欧州の鉄道車両標準のバッファーやねじ式連結器が省略されています。実は、ねじ式連結器の太さでは、鋼鉄の強度の限界から40両編成(5,500t級)の列車に組成して運行することができないため、1975年に登場した3軸ボギー無蓋ホッパー車で自動連結器が採用されて以降、鉄鉱石輸送列車は自連使用が標準になっています。当然、機関車側も自動連結器を装備している必要があります。

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こちらはディリンゲン(ザール)駅構内に留置されていた電気機関車で、左の重連が189形、右の縦に3両並んだのが185形です。左の189形は、車両前部下に黄色く着色された自動連結器を装備し、その両側にバッファー、真下にねじ式連結器を備えたハイブリッド仕様です。右の185形と比較すると、違いがよく分かると思います。185形は、製鉄の原料・燃料である石炭を輸送する列車に主に充当されているようです。石炭輸送用貨車は、1両あたり荷重65t程度で台車も2軸ボギーであり、他の貨車と同じねじ式連結器を装備していますので、185形に自連は必要ありません。

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2019年1月13日 (日)

◆ドイツ鉄道◆151形電気機関車

 7年前の訪独時の写真から、ドイツ鉄道151形電気機関車を紹介します。

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■BR151 152-6 mit den 18 Güterwagen zwischen Osnabrück und Rheine. 30.4.2012

Baureihe151(151形機関車)は、重貨物列車用150形の後継機として1972年から78年にかけて170両製作された、ドイツ国内専用の機関車です。自重118.0t、車軸配置は103形と同じくC-Cで、出力5,982kW、最高速度は120km/hです。ドイツ国内では、旧西ドイツエリアの場合、本線系統の最高速度は旅客160~200km/h、貨物120~140km/hであることが多いのですが、鉄鉱石や石炭など重量貨物は120km/h列車で151形重連の出番となります。最近では、後継の152形や189形などが重連で牽引することが多いようで、この151形は亜幹線系統に転じているようです。上の152号機は、ドイツ鉄道の貨物輸送部門が独立のうえオランダ国鉄の貨物輸送部門を合併して誕生したRAILION(ライリオン)社の所有機で、Verkehrsrot(斬新な赤)塗装です。集電装置は登場時ボックスパンタでしたが、Σ型に換装されています。

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■BR151 134-4 mit den Autotransportwagen, Selbstentladewagen und Gedeckter Güterwagen. 30.4.2012

こちらの134号機はOrientrot(ドイツ鉄道誕生後最初に登場した旧赤塗装)です。全面運転台窓下の白い警戒塗装が特徴で、ドイツでは「よだれかけ」と呼ばれているようですが、日本国内では「ホームベース」と呼ぶ方が多いようですね。色のみならず、集電装置もボックスパンタのままなのが嬉しいです。なお「DB」の表記と、その下のヘッドライト・テールライトの間に横向きの溝がありますが、これは溝より上が車体、下が台枠であるためです。重貨物用機関車だけに、台枠の大きさが尋常ではありませんね。

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2018年12月23日 (日)

◆ドイツ鉄道◆BR101牽引のインターシティ

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 先日のEF81+マヤ50 5001の列車を見て、やはり連想してしまうのが、こちら。ドイツ鉄道のインターシティ(急行列車)です。亜幹線向けのため9両編成と短いですが、写真に撮るには丁度良い長さです。牽引するのはインターシティと言えばおなじみの101形。103形、120形の後継機で、最高速度200km/hの列車はほぼこの機関車が主力ですね。

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同じ区間の逆向きの列車。2枚とも2012年4月30日、オスナブリュック近郊にて撮影。

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ドイツはもとよりヨーロッパはもう6年行っていないので、そろそろ行きたいですね。

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