★H社の機関車を訪ねて2019★保存展示
ここ数年は毎年6月最初の土曜日午前中に開催されている、H社M事業所のまつり。2017年の公開日は、水郡線の西金工臨運転日と重なったため掛け持ちしましたが、2019年はその予定もないので、のんびり出発して終了1時間くらい前に到着。これまで通り、正門で撮影許可証(シール)をもらおうとしましたが、配布が終わっているとのことで、機関車展示スペースでもらうよう指示されました。
記帳して、もらったシールを上着の見えるところに貼り、展示場所へ。毎年少しずつ展示物が増設または手入れされている同所ですが、前回訪問時、車両をもう一列展示できるスペースがある!?と思っていた更地に、屋根付きの展示コーナーが新設されていました。
一番手前には、ED15形電気機関車の背後に設けられていたL4カーが、移設・再塗装され、大々的に展示されました。L4カーの役割は以前の記事で紹介済みのため、省略します。
その奥には、なんと鉄輪式リニア地下鉄の試作車LM-1の台車が保存されました。以前は車両丸ごと置いてあったのですが、解体しても台車だけは残していたのですね。感動しました。
横には台車の説明板。著作権保護の観点から、細かい文字が読み取れない程度に縮小しています。興味のある方は、是非、現地を訪ねて御覧になることをお勧めします。
その奥には、解体されたED500形電気機関車の台車だけ、保存されています! こちらも車体は現存しませんが、台車は残していた……感動。
5年前までは車両が残っていただけに、解体されたのは本当に残念です。EF200形901号機とともに並べてほしかったですね。
LM-1、ED500、とくれば、残る台車は…
明記はされていませんがおそらく構内に保存されていたHX-1の台車ですね。
EF200-901もこの時は綺麗に撮れました。ヘッドマークは、以前の「フレートライナー」ではなくローレル賞受賞記念。
EF200形が6,000kWの大出力を生かせなかった要因の一つとして、変電所の容量不足が挙げられます(増設が必要)。海外では、例えば欧州において、直流電化区間を5,000~6,000kW級の出力で走行可能な電気機関車が走っている国は、ベルギー・イタリア・スペイン・チェコ・ポーランドなどたくさんあるのに、なぜ日本では困難なのでしょうか。実は、海外の鉄道先進国では、貨物列車が走行するような幹線の直流電化区間の架線電圧は、3kVが主流なんですよね。ところが日本は1.5kV。大出力機関車の運行に変電所の増設が必要なのは、そもそも直流1.5kVのまま架線に流す電流だけ増やそうとする(→き電区間をより細かく区切ることでそれを実現しようとする)からであって、電圧が2倍の3kVになれば架線に流す電流はそのままモーターの出力は上げられるという話です(原理上)。ちなみにフランス国鉄(SNCF)やオランダ国鉄(NS)の直流電化区間の電圧は日本と同じ1.5kVですので、標準的な直流電気機関車の出力は、SNCFのBB7200形で4,040kW、NSの1600形で4,540kW、EF66形が3,900kWですから日本と同等ということになります。日本では、新幹線新設計画に絡めてミニ新幹線やフリーゲージトレインが議論されるたびによく「改軌論」が話題になりますが、私は在来線の貨物輸送力増強のための「昇圧論」も議論した方が良いと思います(実際にやるかどうかは別にして(笑))。隣国韓国や台湾の在来線幹線の電化方式は交流25kV60Hzですし、貨物輸送の大動脈であるロシアのシベリア鉄道は、当初直流3kVで電化が進みましたが、東側半分は交流25kV50Hzに方式を変更しています。日本向けの燃料炭を輸送する貨物列車が走行しているイルクーツク-ナホトカ(ボストチヌイ港)間は、全区間後者ですね。
1980年代の流行言葉「ハイテク」。恥ずかしさを通り越してレトロ感さえ漂います。バブル期を知らない世代には新鮮に見えるかもしれません。
吹田機関区の区名札に、位置呼称、全般検査施工、保安装置の各表記。
フレートライナー、ローレル賞以外に、どんなヘッドマークが保管されているのでしょうか。
公開終了時刻が近づいたので出口に向かって歩いていると、消防車体験乗車号に遭遇。
自然溢れる構内には、さまざまな野生動物が生息しているそうです。
すばしっこいので苦労しましたが、ポーズを決めるウサギを捉えることに成功しました。
今年も開催が期待されていた同所公開ですが、コロナ禍の影響で年内のイベントは全国的に無理でしょうかね。企業の存続や従業員の生活が懸かっている、収益を伴う商業系はともかくとして、こうしたCSR的な目的で実施されている利益目的でないイベントは、まず中止でしょうね。オープンエアーで三密ではないけれど。
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